夢と思い出
窓から見えた空が、余りに奇麗で、星を見る為に外に出たが、其の割には見無かった。マリファナ片手に足元ばかり見た。正確には、足元さえ見えちゃ居なかった。何とも云え無い柔らかい感覚の中で、地に付いて居ない足元を見て笑う。
「あー、マリファナ吸ってる。俺にもくれよ。」
此の亜米利加人、名前はええと、嗚呼トニーだ。
「何で。君、煙草吸ってるだろう…」
「何でだよ、良いだろう。cheapo.」
「煩い…」
多分、俺はケチと云われた。俺は英吉利人で、此奴は亜米利加人で、偶に会話が成立しない。別に此奴と話したくは無いから良いけれど。
「あげる。」
「ん?嗚呼、有難う。君、大丈夫かい?」
耐性の無い酒を飲んで、尚且マリファナ。少しふら付いて居た。
中に入ると、ジョルジュはビリヤードをして居た。後ろから凭れ込み、邪魔をしてやった。
「Cheri...」
首筋に鼻を付け、ズボンの中に指先を入れた。邪魔、とはっきり云われたが気にしない。
こくん、とボールが弾け、ごとん。重い音だった。ぼやけた視界ではっきりと聞こえた、不吉な音。
「嗚呼っ、糞…負けた…。アンリの所為だ。」
「貰うぜ。」
「持ってけよ。」
ボードの上に置かれていたコカインを対戦相手は鷲掴み、笑顔の彼に反して、ジョルジュの顔は良い物では無い。
ジョルジュはキューの先に顎を乗せ、小さなキスをくれた。
「御免…」
まさか商売道具を掛けてゲームをしていたとは知らなかった俺は謝った。
「良いよ、如何せ効きやしないさ。Il a a aime, Henry.」
「mois aussi...」
「Hey!余所でやってくれよっ」
後ろから聞こえたトニーの声。ジョルジュは笑って手招き、背中にトニーの重さを感じた。
「混ぜてくれよ。」
「おっと其れは駄目。アンリは俺の恋人。」
「二人でヤってれば…」
二人の間から抜け出、ワインを飲んだ。血の様な色で、興奮した。
其処で目が覚めた。
時計を見ると三十分も経って居なかった。外は勿論暗くて、寒かった。
楽しい夢の後は、何時も寒い。聞こえる靴音と届く明かりにドアーに寄り、小窓から目を出した。
「…………吃驚した…。驚かせるなよ…」
キースは案の定驚き、俺は鼻で笑った。泣き乍ら。腹が立つ程此奴の目は澄んで居た。
「ヤらせろ………、色男…」
「又今度な。寝ろ。」
溜息混じりに吐き、チェックリストにCheckした。Normal、と。
何が“異常無し”だ。此処が異常で無いなら異常な場所は何処だ。
「Bugger.... F**K off....!」
何で出してくれない。何で在の夢の場所に置いて居てくれない。何の権利があって君は俺を地獄に置く。
殺してやる。
そうして夢の世界に戻る。
ドアーを乱暴に叩き、泣き喚いた。
「出せっ、此処から出せって云ってんだ糞野郎っ」
「出す訳無いだろう、f**ker.」
「F**k you!Damn it!」
「Please, If you can kill it.……ヘンリーが暴れ出した。ドクターを。」
俺はこんなに苦しいのに、何故此奴は涼しい顔で仲間を呼べるんだ。
俺には理解出来無い。
仲間も呼べない、夢の世界にも帰れない、迎えも来ない。
来るのは白衣を着た悪魔。
「Fall into the hell... F**kig guys....」
云って、俺は地獄に堕ちた。
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