愛故に U
夕食は、当然入る気配は無かった。だから、一人で寝室に居た。割れたカップの持ち主がして居た様に、酒で悲しさを紛らわせた。ボトルには半分しか入っていなかったが、俺にして見れば結構飲んだ方で、炭酸で割って居た為空腹は無かった。ウィスキーの味は、途中から俺に頭痛を教えた。なので、其れを消す様に飲み続けた。
電気も点けず、月明かりの中で、俺の髪は輝いた。同じ様な時があり、芒みたく奇麗だな、と彼に云われたのを思い出した。
彼の言葉を消す様に目を瞑り、少し寝て居た。じんわりと全身に知る体温に俺は目を開け、月明かりに浮かぶキースの足を見た。抱える様に後ろから俺を抱き締め、ベッドの上には互いの足が伸びて居た。腰に回る手にはグラスが持たれ、此れは俺が使って居たグラスでは無かった。
「ハイボール何かにするなよ。味が薄くなる。」
「御免。」
キースの其の言葉に彼を一層思い出し、横向きでキースに抱き付いた。どくんどくんと心臓の音を聞き、髪に息が掛かる。
「キース…」
見上げた俺に、小さくキスをしてくれた。
「シャギィの事、許してくれるか?泣いて大変何だよ…。マットが宥めてるが。」
「良いよ、別に。怒ってないから…」
凭れ、又顔を胸に置いた。伸ばして居た足を屈折させ、腕の中で縮んだ俺を、全身で抱き締めてくれた。
「猫みたいだな。」
「Mew...」
「俺の可愛いkitty。如何したら泣き止んでくれる?」
沢山キスを貰った。
「ハニー…、愛してる…」
「Me too.」
頭に響くバリトン、月明かりに反射する揺れる青い目。
「愛してるよ…、キース…。愛してる…」
下から頬を触り、深いキスをした。今の時間は判らないけれど、仕事が終われば此の部屋に二人は謝りに来るだろう。頭では判って居るが、キスは止めなかった。
ゆっくりと身体を起こし、膝を立て上からキスをした。キースは腕を伸ばし、持って居たグラスを身体から遠避けた。棚に置かれたのを音で知り、少し背中を伸ばし腰を抱くキースをベッドに押し倒した。
「そうしたら、泣き止んでくれるのか?」
「元から泣いてない。」
「嗚呼、泣いてたのはシャギィだった。」
「なら其のシャギィに、したら?」
「冗談だろう?勝手に泣いておけ。…やっと笑ったな。」
キースは、不思議な力を持って居る。キス一つで俺に笑顔をくれる。
「ハニーの御蔭だ。」
「さて、シャギィには如何な罰を御考えかな?御主人?」
「そうだねえ…」
キースの上に乗り、丸で子供が、何処に連れて行ってくれるの?、と行き先を期待一杯で聞く様にはしゃいだ。
「ねえハニー?」
「ん?」
「君を凄く虐めたい。」
キースの顔は当然引き攣り、顔を逸らされた。
「割ったのは、シャギィだぞ?」
「うん。でも、シャギィを虐めるのは可哀相。」
「とばっちりを受ける俺は、可哀相じゃないと?」
「だからね、考えた。」
キースを虐め、シャギィにも罰を与えられ、尚且願望を現実にする方法。
「寝室にシャギィを呼ぶんだよ…」
俺達が愛し合う様を見るのは、とても苦痛だと思う。
一挙両得だ。いや、其れ以上だろう。
〔
*prev|4/8|
next#〕
T-ss