ALICE in rehab


「I go back to black...」
俺は深い闇に落ちて行く。
「I love you, much...」
深い其の闇の中で、俺は愛を囁いた。一生手に入らない夢と、消えたハニーに。
珍しく夢を見て居なかった俺は、変わりに深い闇を見ていた。何処迄も落ちて行く闇、重力に身体を軋ませ、身体が引き千切られる中に居た。俺を現実に戻したのは、向かいの部屋に居る奴の不快なリズムでだった。真白い天井を眺め乍ら、床や壁を静かに這い擦り回る音を聞いて居た。
「煩いんだけど…」
然し声は相手には伝わらず、飛び起きた俺はドアーにへばり付いた。
「楽しいかい…?」
音は止まず、一層大きく聞こえた。
「煩いって云ってるだろうっ」
ドアーを鳴らし、相手を威嚇した。足元が不安定なのと同じに、情緒も不安定。此の先の未来も不安定な俺は、怒りを誰でも無い現実にぶつけた。
「出してくれ…」
Take it out from here, Right now.
俺が居る場所は此処では無い。真黒な闇の中でも無い。ステージの上。
俺が何をしたって云うんだ。
本の少しオイタをしただけ。
其れが君達に迷惑を掛けたかい。
人も殺して無い、危害も加えて無い。俺は至って“普通”に過ごして居ただけ。
強烈な、普通では無い快楽の中で“普通”に過ごして居た。
俺の“普通”は君達には“異常”に映る。
俺の“異常”は君達の“普通”其の物。吐き気のするね。
俺は“普通”で居たいんだ。俺の中での“普通”に居たいんだ。
イカレタSaint(君達)が、マトモなAint(俺)を閉じ込める。
だから俺は叫ぶんだ。
ハニー(薬)に愛を叫ぶんだ。
だから俺は歌うんだ。
小さな真ん中の指を立てて賛美歌を歌う(喘ぐ)んだ。
ハニーが欲しいと愛を叫んで、神様に向けおっ立てた“真ん中の指”を扱くんだ。
其れが普通なのに、君達は否定する。
此れが“普通”かい。反吐の出るノーマルプレイだね。




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