ALICE in rehab


ハロルドは思う。
此処居る奴等は皆、クリスマスが嫌いに決まって居る。神は糞だと罵る反キリスト集団に、クリスマスは無意味である。
好きに飾り付けして良いと、樅の木の横に置いてある箱。誰一人手を付けず、蓋が閉まった侭埃の雪を乗せて居る。熱心に司祭の話を聞くルカや、イベント好きな女達でさえ興味無く、木は白くなる。
抑ルカは、クリスマス、と云う行事を知らない。
此処の人間はイースター祭もしなければ、ニューイヤーもしない。唯、何故かハロウィンだけは人気があった。
死者と遊べる何て素敵だ、と施設裏にある遺体取引の無い奴等の墓地に向かい、墓を態々スコップで叩いたり蹴ったりし、呼び起こす。勿論仮装はしない。其の所為か、本当に連れて行かれる人間も中には居た。
此れは母さんだ…、と真夜中死んだ奴。此れも遊びに来る。
因みにイースター祭は、西班牙のトマト祭の卵バージョンになる。
そんなハロウィンから一ヶ月経った十二月上旬。反キリスト思想の死者大好き集団の施設は閑散として居る。
「雪、降ったかい?」
其の木の白さにハロルドは皮肉に笑い、ブラッドは窓の外を見た。
「雨なら振ってるぜ。」
「へえ、キリストって凄いな。ワインを血に変えるだけじゃなくて、雨も変えるんだ。」
そして此の木、何故か知らないが、日に日に小さくなって居る。何故なのかハロルドは判らず、疑問を持って居たが、目の前で理由を知った。女達が枝を折り、其れを暖炉に入れて居た。クリスマス当日には、此れは完全に無くなるだろうと、ハロルドは紫煙を木に重ねた。
「ブラッド。」
「何。」
「君、此れで何か作れないか?」
此の侭女達に禿げにされる位なら、此の天才に活用して貰いたかった。ブラッドは千切って居たポルノ雑誌から目を上げ、木を見た。
ブラッドは毎日暇だと歎き、こうしてポルノ雑誌をパーツ毎に千切り分ける。そしてパズルを作る。
今日の作品は、豊満な胸に男性生殖器をぶら下げて居る人物が一人。其の周りに、摩訶不思議な人物達が自慰行為をし乍ら見上げて居た。丁度、十二人。
「無理。」
「何で。」
「道具が無い。」
刃物は勿論、先の尖る物は鉛筆でも一切許され無い此の場所。食器は全て、折れない様に分厚く木で作られて居る。爪も強制的に深く切られる。
「やっぱり無理か…」
「鑿一つで良いんだけどな。」
木を見乍らブラッドは手を動かす。然し望みは無く、一週間後丸裸にされた哀れな木をハロルドは眺めた。
鉢だけに為った木、其の木の様にハロルドは足元から引き抜かれ、夢から、現実に叩き付けられた。




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