そんな関係


何が如何為ってこんな娘に育ったのか。腹を盛大に見せ、股を開き、前足をくの字で、良くもまあ大胆不敵に寝られるものか。
「白虎、白虎さん。」
――おぉ…お父ちゃんやぁ…、相変わらずに胡散臭いのぉ…、寝起きに見ると一層やぁ…
「せめて股閉じて寝為さい、君、女の子でしょ。」
――おぉ、寝るぅ…
ごろりと白虎は寝返り打ち、ぱたんぱたんと尻尾を揺らすと、前足に頭を乗せて睡眠を続けた。
「胡散臭いて。」
後ろに居た茜は小さく笑い、読み終わった雑誌に紐を掛ける。
茜は、何か知らん、何時も口元に笑みを蓄えて居る。機嫌が良い時は、鼻歌迄聞こえる。
人生、何がそんなに楽しんですかねぇ。
私は自慢じゃ無いが、生まれて此の方、歌等歌った事無い、国歌でもだ。こんな感じだろう、と口を動かすだけ。音楽の授業等、人生一度も出た事無い。丙で良い、歌う位なら、丙さえ貰えなくて良い。
其れ程私は歌うと云う行為が嫌い。
我が悪友の光大は、良く判らん軍歌辺りを怒鳴り乍ら、あら歌ってるんじゃない、撒き散らし、謙太はと云うと、己秀才、秀才は何でも出来るのか、声変わりした後でも女みたく高い澄んだ歌声を誇って居た。だから此奴が、女と混じって悲鳴を漏らしても違和感は無い。
音痴か如何か、歌った事無いので知らんが、光大依りはマシに思う。光大拡声器から漏れる軍歌、茜が歌うと、あ、こんな歌なんや?と初めて調子を知る。
茜は普通に上手い部類では無かろうか。
とは云っても歌等、オペラ歌手だろうが、加納並の音痴だろうが、好きなら歌って居れば良い。加納、あれはある意味才能だ、何故全く違う歌に為る、歌詞が同じなだけで全く違う歌なのかと思った程。違う歌に為るだけなので、元を知らない人間が聞いたら、あら御上手ですね、と云う。私も其の一人だった。其の妹、雅女史、彼女が又、此方は本当の意味で上手い。感動に息が詰まった。其れに加納の音痴が重なると、素晴らしい二部合唱に為る。此れ、レコードにしたら売れるんじゃ無かろうか。
だからまあ、加納の音痴は、其れ為りに役立って居る。誰の役に立ってるかは知らんが。
私は、歌っても誰の特に為らないので歌わない。
此の先一生歌う予定も無い。金遣るから歌えと云われても絶対歌わない。老師の頼みでもだ。
私の鼻歌を聞いた事ある茜曰く、気味悪いから止めて。
此れ、音程の不安定さに不安に為るからなのか、私の機嫌が良い事に対してなのかは知らない。聞きもしないが。
白虎は、面白い事に歌う。天気の良い日庭でスフィンクスしてるかと思うと、決まって尻尾でリズムを取り乍ら歌って居る。白虎は歌って居る積もり無くても、歌に聞こえる。此の間何ぞ、近所のラジオの音を拾って歌って居た。ラジオから聞こえた言葉を繰り返してるのだが、白虎の速さと強弱に為ると歌に聞こえる。
白虎で一儲け出来んだろうか。
「あー…しまった…」
「何…?」
「わいも捨てるんやった…」
「持って来、序で遣ったるよ。」
「あ、ほんま?大きに。」
最終的不用品が私に回って居るだけなので、勝手に捨てても問題は無い。
此れ、良く居るタイプなのだが、捨てるの判って居るのに、中を確認し乍ら捨てる人間。茜と夏彦氏が此れだ。捨てるって云ってるんだから、何をけち臭く中を見乍ら捨てる。時間の無駄では無いか。
だから此の二人、片付けが下手くそ…と云うか要領悪い。何時迄経っても片付けが終わらん人間。
模様替えして居る訳では無いので如何ぞ、好きなだけ時間の浪費をして下さい、私は知らん。
いや然し、白虎も昼寝中、茜は時間の浪費中、私する事が無く非常に暇。仕事が無い時の考古学者は、職場でも暇なら家に帰っても暇なのだ。忙しい時は本当に忙しい。
理系の学者なら一秒とて暇な時無いだろうが、考古学者は、暇な時は本当に暇なのだ。実物が出るか、調査依頼をされないと仕事に為らないのだから。其の時は下っ端の私が一番忙しい。
「茜ちゃん。」
「何です、八雲さん。」
数十冊の本を縛るのに、御前は一体何時間掛ける積もりなのか。一晩掛ける気で居るのか。
「僕達、そろそろ本気で考えな駄目な時期に入ってませんか。」
「何を?」
今迄問題無かった、問題と思った事すら無かった。然しこうも云われると、七年と云う年月と、茜の年齢をも考えると、潮時な気がした。一番は、茜の年齢だった。
「子供。本気で如何するか決めよ。未だええ、なんて暢気に笑てる年やないの判ってますよね?」
「うん…」
「二十三です、ほんまぎりぎりやぞ。」
「うん…」
「わいは要らん。今迄は其れで通ってた、けどもう通らん時期に来てしまったわ。」
茜は黙って持って居た紐を纏め、然し手持ち無沙汰なのか弄る。
「要らん、ゆうてるのは、嫌いやからだけや無いよ。負担が全部に茜に行くの判ってんのや。わいが産む訳でも無い、わいが手伝うとは思えへん、然も家に居らん時期はほんまに居らん、白虎居て、赤ん坊居て、御前一人で…結果見えてんのよ。其処迄してわいは子供欲しないねん。けどよ、茜が、自分が欲しいとか、親父さんに孫見せたりたいて、苦労差し引いて云うん遣ったら…」
作ろう。
其の一言が出なかった。痰の様に喉に絡み付き、胸迄ムカムカし始めた。
「あたしは、どっちゃでも、ええわ…」
「産むの君ですよ?育てるのも君ですよ?」
「八雲が欲しないもん作ったって、あたし、嬉しないもん…」
「だから…。わいが欲しい欲しくないやのぉてやな。御前は正直どっちなんやて聞いてんの。」
頭が悪いんだろうか、私の妻は。二言には「八雲が」「八雲が」と、馬鹿の一つ覚えの様に。
美代子も小百合チャンも産んで居るのに、同じ女として茜は何とも思わないのか。
「あたしな、思うねん八雲。」
「うん。」
「白虎居てたら、其れでえんちゃうの…?なあ、子供て、如何しても産まなあかんモンなん?あたし、子供がええとは、思えんのよ…、ずっと、黙ってたけど…」
そうして茜は、本心と周りから云われる言葉をぽつぽつと話し始めた。
「習い事行っても、子供居てないのが不憫みたいな目で見られて、云われるたんび、益々子供欲しなく為って。確かにな、結婚て、其の為にするんやけど、あたし等よぅ考えたら、子供作る理由が無いやん。八雲んトコは御義姉さんが家長成らはるし、うちは叔父さんと松山が居てるし、実権は全部向こう行ってるし、正直、産んだトコで、意味無いと思うねん。そら、美代子みたく子供に人生の意味見出だしてんなら話は別やけど…。白虎で其れは埋まってるし、何より、八雲居るだけで意味あんねん。お父ちゃんには悪いかなて思うけど、お父ちゃんが最後迄見て呉れる訳ちゃうやろ?だったら、猫もう一匹飼った方がええよ。八雲が要らんから要らん云うてる訳や無いよ。白虎が、あたし達の娘やん。其れで、ええやん。」
麻紐が、弄られ続けた所為で粗く為って居た。
「八雲が如何しても欲しい、云うん遣ったら腹括ろ、欲しがった癖に可愛がらんかったらお父ちゃんの養子にして貰おて思ってたけど、やっぱし要らんみたいやから。」
私は、家庭を全く気にしない男。私が居ない日中、茜が何をして居るのか等全く気にしない。派手に着飾り街中うろつこうが、一日篭って居様が、一人ファッションショウして居様が、稽古事して居様が、興味も感心も嫌悪も無い。
だから、出先で茜が何と云われたか、何があったか、何を思って居るのか、私には判らない。ピアノ買って、と云われた時でも、そんな大きな物は実家に頼んで、と流した。大体、我が家の経済状況を把握して居れば「ピアノ買って」等軽々しく云えない。仮にピアノが買えたとしても、一体何処に置く気か。四畳半の物置にでも置く気か。ピアノを買うと云う事は詰まり、広い部屋が居るのだ。生憎一番広い部屋は寝室、客人等そう来ない応接室は白虎の部屋と化して居た。
然し我が家にはピアノが二年前からある。出掛けない日の茜は、大概ピアノの前に居る。
如何為ったかと云うと、私が居ない間、居間と隣の四畳半の応接室が繋がった。壁がぶち抜かれ、馬鹿広い居間に為った。二ヶ月居ない其の間、改装が行われた、私に一言の相談も無しに、愛娘の「ピアノが欲しい」のたった一言で。其れでも私は文句を云わなかった。我が家の金では無かったから。居間が広く為ろうが、ピアノがあろうが何も云わなかった、帰って来た時に少し「変わったな」と云った位。ピアノが手に入った茜の気持等、全く聞かなかった。良かったな、とも云わなかった。
そんな男が、妻の気持等、何故判る。
子供も同じ。
欲しいとか欲しくないとか、一度も考えた事が無い。もう如何仕様も無い時期に迄来て仕舞ったから考えるだけ。
初めて聞いた茜の本心は、周りが考えるより単純で、けれど深かった。
一緒に居るのが倖せだからそんな気が起きない訳では無く、全く想像付かないので“考える”と云う思考さえ無いと茜は云う。
子を産む女は、仕方無し産んでるのだろう、と。
周りが煩いから、とか、年齢的に、とか、周りが産んでるから、とか仕方無し産んでる気がする、と。
そんな代物に、茜は全く興味を持って居なかった。
「あたしな、八雲が思う以上に、自分が大事なんよ。自分が可愛えんよ。自分を犠牲にして迄、正直欲しく無いんよ。此れ、黙っとこ思てたけど、八雲が云う様に時期やんな、云うわ。若し子供が出来たら、八雲に黙って流してまお、て考えてた。」
「は…?」
私が感心無いのを良い事に何を考えて居たんだ。
「八雲が子供嫌いやから、てのもあるよ、あるけど、結局は自分。子供の為に死ぬ迄自分の時間犠牲にするんかて思たら、絶対可愛がられへんやろなて。まあ、杞憂やったけど。」
「此れから先、出来るとは思われんしな。」
「うん。」
三ヶ月に一度、と云う回数もあるが、海軍に行った時から、私はある代物を貰った。
避妊具。と云うか病気防止。
私は知らなかったのだが、軍では常識、いいや義務、妻以外と遊ぶ時は必ず使うと。知らぬ私は加納に「此れ何です?」と聞いた。

――妊娠と病気防止の道具です。あの大戦の時、あの馬鹿陸軍さんが、性病で軍を壊滅寸前迄おちやったのですよ。危惧した軍医が開発し、其れを海軍も頂いた、と。同じ過ちをする訳にはいきませんからね。妊娠もしませんし。
――此れを付けてすると、妊娠、しない…?
――ええ。中絶も面倒なのですよ。…まあ、陸軍さんの慰安婦ですから関係ありませんが。然し、妻帯者が余所で作ると面倒なのですよ、最悪海軍に泥を塗ります。海軍将校は子供が出来ても無視する、等…。なので携帯を義務化して居ます。
――頂いて良いですか?
――え?ええ、御好きなだけ。…おやまあ。おやまあ八雲君。
――…誤解為さらぬ様、元帥。こんな男を相手にする悪趣味な女な等世界に一人しかおりませんので。

加納から不思議な顔されたが、御好きなだけ、と云われたので、段ボールごと一箱持って来てやった。一生で使い切るか判らんが、劣化せぬか知らんが、何、劣化したらしたで又貰えば良い、陸軍の一幸に。奴は如何せ使わんだろう、相手が美麗で、逆が云々云って居るのだから。
なので私に抜かり無し、此れを知らぬ時でも妻は妊娠しなかった。念には念を。
「ほんなら要らん、作らん、出来たら流す、其れでええな?」
「うん…」
「何よ。」
「出来たら流す、は不吉やし、一応人一人殺すんやし、暗黙の了解にしよや…。黙って流すし…」
「そうな…」
暗黙だろうが公約だろうが違い無いが、茜がそう云うので頷いた。黙って流す、とは云ったが、こうも思いを云われたのだから、病院に位は迎えに行って遣ろう。だから黙って流すな、とは加えた。出来んだろうが。
「抑御前、生理あんの?」
詰まらん、根本的な問題を考えた。
「あるよ、失礼な。女だよ。」
「乳も無い、愛嬌も無い、品も無い、此れで生理迄無い云われたら、もう女や無いなて思たけど、あるんや、へぇ。」
妖怪姉妹は月物の時、妖怪通り越し訳判らぬ化け物と化した。茜には其れが無いので、此奴本当に来てるんだろかと疑って居た。
何だ、此奴も女だったのか。
そう云われてみれば、たった一日だけ、暗い時がある。朝から辛気臭いと思い、帰宅しても相変わらず辛気臭い。目等虚ろで、精神を来たした奴にも見える。
「なあ八雲。」
「ん?」
「あたして、可哀相なん?」
「は?頭は漏れなく可哀相。」
子供の話をし始めてから、茜の様子がおかしい。思い詰めてるのでは無かろうか。
全く世間の主婦は暇である。
「あんな、美麗とも話した事あんねんけど。」
「うん。」
「美麗も、ええ年こいて独身やん?」
美麗も好きで独身なのでは無いだろうが。
「美麗なんか、同性愛者なんやし、勝手に子供作て、勝手に育てる事やて出来るやん?人生に男は要らんのやから。」
「彼奴今、一幸と出来てるよ。」
「は?嘘…。いや嘘やん…」
「ほんま。」
「子供、欲しんかな…。まあええわ。子供。ええ年こいて子供無いから、可哀相ね、て云われた事ある。あたし等、可哀相…?」
誰が何んな意図で可哀相と云ったかは知らんが、子供が居ない、其れの何処が可哀相なんだと聞きたい。そんな詰まらん事を子供を産んだだけで威張る女こそ可哀相だ。其れしか誇りが無い様な詰まらん思考。
子供産んだ途端威張り腐り、恰も女の代表的な面する女を見ると、薄汚いガキ諸共突き飛ばしたく為る。
「はーあ。」
溜息では無く、呆れと怒りが混合した息が漏れた。
「そんなに偉いんですかねぇ、子供産んだ位で。」
俄茜はぱっと顔色を明るくした。
「子供なんか犬猫でも産めるわ、何を鬱陶しい、偉そうな。寧ろそんな仰山産んで、御宅家畜か何かですか?嗚呼、旦那の家畜でしたね、失礼致しました、気が付きませんと。」
「八雲ぉ…」
「薄汚いガキ引き連れ何がしたいねん、謙虚に生きろや謙虚に。鬱陶しいの、家から出るなや。鬱陶しいの。」
「八雲、八雲、もっと云うてッ」
「可哀相?は、抜かせ。御前等の薄汚い不細工な頭悪そうなガキの方がよっぽど可哀相や。大体貴女、自分の顔自覚して無いの?嗚呼、可哀相な頭ですねぇ、ガキ諸共御愁傷様、人生詰んでますわ。茜、相手にしたらあかん、子供産んで頭如何か為っとんねん。羨ましいんやろ、茜や美麗、子供おらんと自由に着飾っとる女が羨ましいやろ。そやろなぁ、全部子供に取られてるんやもんなぁ。でも其れ選んだんは貴女ですよ、男に寄生せな生きてかれへん、子供を鎖にせな生きてかれへん自分を呪えや。子供欲しくない男かて居てます、其れ選ばへんかった癖、何を偉そうな。子供産んだ位で偉そうな。寧ろ、子供産まん女の方が賢いわ。次云われたらそう云え。」
「凄い、凄い。美麗とおんなし事云うてる…ッ」
私は唯、茜が子供に対する思いを云った様に自分の意見を云ったのだが、拍手を貰って仕舞った。
「美麗も云うた。僕が可哀相?何処が?僕の何を見てあんたは可哀相とか云うんだ?子供産んだのはあんたの勝手だろう。僕の人生に子供は要らない、だから産まない、居ない、自分の人生を自分の思う様生きて何が可哀相なの?子供に縛られ生きてるあんたの方が余程哀れに見えるよ。結婚もそう、しなくても僕は生きて行ける、恋人と居れば人生は豊かに為る、恋心も忘れて生きる為に男に養って貰うとか、あんたの人生一体なんなの?人生って、恋をする為にあるんだよ?あのね、本当に子供で人生謳歌してる女の人はそんな事云わないよ。悔しいんだろ、僕達が。自分の為だけに生きてる僕達が。まあ散々云ったけど、僕、親が金持なんだよね、だから子供産んで迄男に寄生する必要無いんだよ。僕の親だって財産で道楽してたんだよ。金には一生困らない。彼女もそう、旦那に愛されてるからね、子供なんかで繋ぎ止める必要無いんだ、然も実家超金持、離婚されてもパパが優しく迎え入れて呉れる。さあ反論して御覧、何方が可哀相か。今惨めな気持を感じたなら、其れが答えだよ。ヨーロッパの資産家でも掴まえ、子供と一緒ん為って財産食い潰す覚悟で出直して来な。どっかの元公爵夫人みたくね。待ってるから、哀れなおばさんお馬鹿さん。」
矢張り、鬱陶しい母親の被害に遭った奴は皆同じ事を考えて居るらしい。其の後其の女は案の定ヒステリーと引き付け起こし、子供産んだ事も無い癖に、と同じ事を繰り返したと云う。余程其方が可哀相だ。私はもう感激で、美麗にキッスとハグをして遣りたい。善くぞ云った、美麗、君は占い師等摩訶不思議な怪しい商売等止め、活動夫人に為ったら良い。
子供を産まない女の人生とて立派な存在では無いか、其れを他人がとやかく押し付けがましく云う必要は無い。美麗の云う通り、本当に子供で倖せなら、美代子みたく「其れも有りなんちゃう?茜の人生やし。八雲は?八雲も要らん?ならしゃーない」「欲しない思うんやったら絶対作らん方がええよ、心の準備て要るねん。あたしはずっと欲しかったから産んだだけ、誰の為でも無い、自分の為に産んだんよ」「倖せよ、ほんま、こんな倖せでええんかて位、こうして子供見てるとな、涙出て来んねん、倖せ過ぎてな」と素直に云う。そう云う女を見て女は母親を羨む。子供が居る人生も悪くないと。小百合チャンみたくに為ったら、問題ではある。
小百合チャンは、育児ノイローゼと姑からの云々、旦那の無関心とで人生と精神を崩壊させた。子供は双方の両親が育てて居る。小百合チャンは本物の“可哀相”、子供で本当に人生を台無しにして仕舞ったのだ。
私は此れを知って居るから、茜の好きにさせて居た。周りがやいやい云い無理矢理に子供産ませた結果が此れやろ、あの小さな村の事、然も唯一の医者の家の事情を知らん訳無いだろう、其れでも云うのかと、私は少し周りを軽蔑した。
美代子を見ても「要らん」と言い張る茜、作らない方が無難である。
「猫、飼うか…?」




*prev|5/6|next#
T-ss