ウェストウッド通り


「俺思うんだが、女が一人でしてると思うか?」

ケネスは又新しく資料に名前を付け加えた男の名前を指して聞いた。
四ヶ月前発見された最初の被害者から、昨日発見された被害者で六人目。多いと思うが、然したった四ヶ月の間に月が見える程晴れた日が六日しか無い事を指す。後は雨か、雲が多い。月が見えるない事は無いが、此の狂気が望むのは“ブロンドの様に輝く月の日”。其れが四ヶ月で六日しか無かった。
同僚は首を振る。

「共犯は、確実に居るな。」
「女だと思うか?」
「そうかもね。娼婦が数人で一人の男を殺し、川に捨てる。」
「男じゃないか?」
「其れは無いんじゃない?客に、御願い、あんたの前に殺した男を始末するの手伝ってって云うのか?俺なら逃げる。娼婦は男友達なんか居ないんだよ。」
「じゃ女か。」

同僚は肩を上げ、笑う。ケネスは煙草を消し、続いて違う資料を手にした。
一週間前に起きた殺害事件。被害者には悪いが、ケネスも其の同僚も、此処の管轄の警察全てと云って良い意識は一つの狂気にしか向いて居ない。娼婦が溜まる宿で殺された、だから如何した、とケネスにもやる気は無い。
「此の犯人捕まったか?」
「いや、誰も捜査して無いな。」
「腰、脇腹、太腿、心臓刺されて…頭も殴られてるのか。」
「なってないな、品が無い。」
「品がある殺人事件ってなんだよ。」

ケネスの言葉に同僚は笑い、積み上がる資料に目をやった。意味が判ったケネスは相手をするのも面倒臭く、誰も捜査しない資料を眺めた。見れば見る程詰まらない、ケネスは資料を机に捨てた。


イヴの手伝いをした時、僕は決まって男と寝る。此れがイヴなら殺す所だな、と暢気に僕の横で寝ている男に目を向けた。僕はキスして、其の侭ブロージョブをしてあげた。

「…何?」
「起こした?御免ね。」
「起きたけど、悪い気はしないかな。目覚めて一番最初に見るのが、可愛い男の子が自分の物を咥えてる光景だからね。」

僕は笑い、口を離した。
起きなかったら、僕は噛み千切っていただろうか。イヴの様に。
僕は、イヴになりたいのだろうかと思う。最近考えるのは、イヴの事ばかりだ。

「ねえ。」
「ん?」
「あの連続殺人の事、如何思う?」
「如何って?」

男は煙を吐き、僕の髪を撫でた。

「そうだな…怖い、とか。」
「其れは無いな。」
「何で?」

男は髪から手を離すと唾液で濡れている僕の唇を触り、首を傾げた。

「犯人がゲイボーイだったら、其れは怖い。」
「そういう事か。」

自分に関係の無い事に、他人は関心を示さない。僕は其れを、最近知った。

「其れに…」
「其れに?」
「今日は雨だ。」

カーテンの向こうで、雨粒がワルツを踊る。
シーツの擦れる音が心地良い。

「噛み千切らないで呉れよ。」
「千切ったら僕が犯人だ。」
「ジーザス。」
「ふふ。」

僕は笑い乍ら唸り、男の物を少し噛んだ。男は、笑っていた。




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