松山さん


ずっと燃えて居る筈なのに、時偶煙草は、ジリジリと身を焦がす音を出す。
「ホモって実際如何なん。」
横に居た京介が、煙と一緒に吐いた。
「レズはええけど。」
「差別はあかん。ホモも懸命に生きてんねん。なあ?」
聞こえて居るか、意識さえあるかも判らない男の肩を靴裏で押した。
「オジサマ生きてますか?」
弾力で生存は確認出来たが、怪しいので聞いてみた。男は腫れ上がる瞼を少し動かし、顎を少し、本当に少しだけ動かし頷き見せた。
「オジサマ、駄目よ、オイタは。」
全裸で手足縛られ、少し出る腹や背中を血や打撲跡で飾り付け、尻には一層の飾りを付ける男。ロマンスグレイの髪は四方に散らかり、同じ色をする髭には血が絡み付く。一番最初見た時と真逆の姿を晒す。
最初写真で見た時、俳優かと思った。実物を見たら腰が抜ける程の色男で、京介と二人で呆然とした。顔を見合わせ、本当に此の紳士で合って居るのか確認した程。
オッサンと云うよりはオジサマと云う言葉が誠しっくり来る男で、少年を監禁する変態には見えなかった。此の男なら、監禁する迄も無く、金と態度で少年を引き付けそうなものだが。
上品な笑顔、荒げると云う事を知らなさそうなしっとりとした落ち着いた声、痩せて居る訳でも病的に太い訳でも無い中年らしい体躯、其れを包む上質なスーツ。
双子か何かが居て、其奴が少年を玩具にして居るんじゃ無かろうかと疑った。けれど、わし等を見ると、一瞬だが上品な目の奥に歪な色を見せた。
道に迷った地方者の振りで近付き、教えて貰った後「序で少年の監禁の仕方も教えて貰えませんか?貴方なら、監禁せんと金で飼えそうですけどねぇ、相模さん」と少年の写真を見せ、尋ねた。
此れが唯の変態男の監禁物語なら個人的趣味で終わらすが、少年…と云うか青年が悪かった。
がっつり由岐城関係者である。
暫く見ないなと思ったら此奴に監禁されて居た。
青年は昴と云うのだが、此奴が又破壊的にアホでナルシストで、金と贅沢とちやほやされるのが大好きな男。此の相模と云う男は、如何にも昴の大好物なのだ。昴に一度、何んな男が好きなのか聞いた事がある。すると、
「お金持ってる人、若い奴は嫌い、セックスが下手くそだし、第一に僕を支配する。僕は崇拝されたいの、昴ちゃん昴ちゃんって、唯可愛がられたいの」
と、世の中舐めきった不愉快な返答をして呉れた。
昴は男娼で、金を渡せば平気で仕事をする。接待に使う時もあるし、余分に金を出せば殺し迄はしないが其れに近い事はする。見た目と少しずれた頭のネジ、此の美貌から「もっと気持良く為るの」と口移しで受ける薬の快楽。
昴の基本は、最初の数回、依存させる迄の薬の“運搬”。客が完全に依存を見せたら、売人を紹介する。御免ね、僕はもう持ってないんだ、でも持ってる人を知ってる、と。
バック(囲い)の無い男娼。わし等のシマでのさばり腐り、目障り極まり無かったので一度締めたのが始まりだった。と云うのも、街娼にも決まりはある。郊外の自宅で売春するなら勝手にすれば良い、唯、歓楽街で商売するなら通す所は通して貰う。
だから、街娼が出来る。
バックにわし等が付くなら、持つ店で面倒見れば良いじゃないかと云われるが、街娼は基本“自由”で居たい。声を掛けられても、気に食わない客なら取らない、値段も自分達で決める。店に居ると相手をしたくない客でも相手にしなければ為らないし、値段も勝手に決まる。自分の価値や値段を他人に決められたくない奴が大半。
でも、歓楽街で仕事をする以上、決まりは守って貰う。月に幾らか貰い、其れでわし等は街娼を守る。
需要と供給は、此処でも発生する。
一度、未だ腫れを残す顔面で立つ女が居た。如何したのか聞くと、客にレイプされたと云った。金を払わない奴の何処が客なのか疑問を持つが、其れ以外で形容し切れない。特徴を聞くと、何だか簡単に見付かりそうな男だったので、見付けた。女に確認取らせると頷いたので、女が暴行受けた場所で暴行返しをした。男は何度も静止の声を漏らした、でも、男に食らわす蹴りも鉄拳も止めなかった。同じ場所で男は、女に同じ事をしたのだから。
女に同情したからでは無い。レイプ等、そんな下劣な行為をする生きる価値も男でも無い蛆虫は、放置すると羽化をする。味を占め、次から次に獲物を見付ける。あっという間に蛆が沸く様に。
だから、締めた。
女は大した感情も無く礼を云っただけ、辞めると思うだろうが未だ道に立って居る。時折顔を見掛けるが、寄って来る訳でも避ける訳でも無く、通り過ぎるわしを、他と同じに眺める。懐かれても困るが。
街娼は、決して群れる事をしない。まるで野良猫の様に。
昴は其れをしないで街娼して居た。わしが追い掛けると少女の様な悲鳴を発声させ乍ら逃げ、捕まえても尚煩いので、御自慢の尊顔に犬の糞を擦り付けて遣った。
由岐城依り力のある組は無いが、面倒臭い組だと厄介なので此れだけに留めた。
――御前のケツ何処や。
誠の臀部では無く、奴を囲う組の名前を聞いたに過ぎないのだが昴は矢張り阿呆で、金を払え、然も一寸高い事を云った。
――アホか、御前の尻になんぞ用無いわ。組や、組。て…待てや、意味判らんて事は、御前、ケツ無しでしてんのか?
――何を云うてんのか判らへん。僕は一人でよぅやってんの、ケツて何よ、組て?
――御前、アホか。詰まり御前は、わし等に話通さんと金稼いでんのな?
――お兄さん何?何なん?足離してんか、僕の顔に…
――月に百渡せ、其れで御前を守ったる。
――百…?冗談やろ…
――由岐城組。此れで判らんのなら、すっぱり辞め。
――判った、判ったし、足、離してな…
月に百円渡す痛手依り、今の苦痛から解放されたいが為昴は頷いた。例え月に八十円しか稼がなくとも、百円払う事を承諾した。
其の翌々月、百円払えと云ったわしに昴は、先月は一回も行ってないから払う義務は無いと阿呆抜かした。嘘かと思ったが、毎日の様に立つ女に聞いたら、「そういや先月一回も見てないわな」「あんた等殺したやろ」ときりきり笑い、客を捕まえた。
――何でや。
――だって百円払いたないもん。
――ほんなら、もう二度とあっこで商売しなや?
――んー…でもお金要るよって。
――何で金要るねん。
――僕な、お姉ちゃん居てんのな、お姉ちゃんの入院費よぅ要んの。月に百は要んの。
昴は昴なりに、少ない頭で計算した。毎月の出費が倍に為る、だったらもう辞め様と。そんなの働く意味が無いから。
――お姉ちゃん、病気か?
――病気、云うたら、病気かなぁ。退院は、…せん。一生…
昴の口から出た病院の名前、わし等でも近寄りたくない精神病院だった。
――…判った、判った。ほんなら仕事回す、其れをしたら百円は要らん、好きなだけ商売してええ。御前の為ちゃうぞ、姉ちゃんの為や、判ったな。
――松山はんやっさしぃ。
目を窄め、昴は笑う。
一見すると姉を思う優しい弟、其れに同情するやくざだが、全く違う。本来なら百円等そんな高額を払わなくて良い、無駄に高額払うのは“其の代わり絶対関わらすな”と云う意味が含まれる。精神病の姉と暮らす苦労なら、百円払った方が何れ程楽か。其処にわしが百円払えと云って来た。逸そ死んだ方が楽に為るなと迄考えた。
此れが二年前の話。
其の後姉は病気が悪化し、屋上から飛び降りた。其の場に昴が居た。
勿論、察しの通り、昴が殺した。
抑に姉が精神病を発症したのは母親と昴の執拗な迄の虐待で、姉は相当に昴を恐れて居た。昴の“ちやほやされたい気質”は母親が原因、父親は居らず、徹底的に姉と昴を贔屓した。息子に血が滴る程の肉を食わす横で、娘には腐った生肉を床で食わせた。上半身は息子を抱き締め、下半身は娘を足置きにした。昴ちゃんの睡眠が妨害される、昴ちゃんに菌が移ると、高熱で咳込む娘を物置に仕舞った。
昴の美貌は、母親譲り。一方で姉は、美貌は美貌だが昴にも母親にも似ず、詰まり、母親が殺したい程憎い男譲りだった。
二卵性なのだから当たり前だが。
そう、昴は双子だった。
だから姉は昴にも同等の恐怖を抱いた。此れが何歳か下の弟だったら少し変わったかも知れないが、全く同じ日に、たったの数分違いで生まれた。昴が父親似で、姉が母親似なら立場は全く逆であったし、揃って母親似なら昴の人生、揃って父親似なら姉の人生。
いや、昴は何の道、男と生まれた時点で母親から盲愛の対象で、女と生まれて居たら姉と同じ対象だった。
自分以外の女は全て敵と見做す母親、自分を絶対捨てない男を必要とした母親。
此の母親こそ一番に隔離する可きだった。姉より、もっと早くに。
其の母親が死んだ時二人は十六歳で、昴は姉を病気に押し付けた。先にも云った様に昴は母親に良く似て居る、全く同じと云って良い。昴の髪が長いのは母親を意識してこそで、姉が死んだ時ばっさり切った。
あの日屋上で何があったか。
姉の精神病が悪化したのは云う迄も無く昴と、其の後ろにはっきり浮かぶ母親。在れ程接触避けて居た昴が、姉を引き取りたいと云った。
勿論嘘。
そう云う事で姉に接触出来る。
半年、半年毎日の様に昴は姉の元に通い、そして、連日繰り返された悪魔(母親)の言葉を連日繰り返した。
僕が来たら笑って、そして僕を最高の存在だと周りに教え為さい。
――ええな?姉ちゃん。
姉の奴隷っぷりは見事だった。昴の姿を見ると其れはもう犬の様に喜び、昴が何れ程自分に必要で自分にとって大事かを周りに教えた。人前ではスプーンで食事介助するが、人が居なく為れば容赦無く食事を床に撒いた、頭を押さえ付けた。わしが廊下で見張り、人が入る時はわしが先に覗き、サディスティックに姉の頭を踏み付ける昴は一変して「姉ちゃん、姉ちゃん大丈夫やから」と、粗相した姉の後始末をする健気な弟を演じた。
――松山はん。
――何やねん。
――姉ちゃんて、美人よな?
真横で昴に恐怖する姉は、わしの目から見ても末期だった。
精神病院なんてモンはええ加減で、わしが聞いた話だと、一番儲かるのが精神病院と聞いた。大した診断もせず患者を作り上げ、病気を作り上げ、薬で支配する。頭がおかしい人間を相手にする事自体馬鹿だと考え、医師も看護士も、金の為に作り上げた患者等気にしない。始めから引き取る気の無い昴に、其れでも医師は“金”と云う患者を手放しはしない、昴にも病院にも、需要と供給の世界。
わし、法学部なんか出んで医学部出たら良かったかも、等と余りの暴利に後悔した。
だって此れは、美味し過ぎる。
此方だって頭のおかしな人間を相手に大金生み出して居るのに、一方は犯罪と見做され、一方は崇められる。遣る事は大差無いのに。
昴の質問にわしは、なんでか知らないが髪を引っ張られる姉を見た。
――頭さえ普通やったら、美人ちゃう?
虚ろな目で無く、隈の無い目元で、唇はがさがさに渇かず、爪も奇麗に伸びて居たらの話。
――やってぇ、姉ちゃん、美人やて、良かったな。
笑顔で昴は一層髪を引き、二三本抜けた髪を床に捨てた。
無言。
姉は無言で頭を揺らして居た。
――姉ちゃん。
――…何…?
――僕に恥掻かさんで。
――御免…御免ッ昴ちゃ……ッ
ベッドから引き摺り下ろされた姉は、わしの前で頭を床に擦り付けた。
――姉ちゃん、こんなええ男が、姉ちゃんみたいな奴を美人やぁ云うで呉れたんやで、何か云う事あるんちゃうの。
そんな事、一言も云った覚えないが。
怯え切る姉は小さな声で何度も感謝を述べる、姉が怯える程母親に為る昴。
詰まり昴が何を遣りたいのかと云うと、暇な組員に姉を凌辱して欲しい。
昔から良く使う手だったらしく、昔から姉は、母親の恋人や昴の同級生達に暴行受けて居た。母親が恋人に姉を凌辱させるのは、自分の男と取った、売女、そんな女はそんな価値しか無いと罵る為。売女に相応しく、昴の同級生に回させた。
全て母親の手回し。
――御前、ほんま腐り切っとるな。
――其れ、褒めてんの?
天は二物を与えない、昴を見ると、本当に思う。美貌と優しさ、昴に要るのは何方か。
熱風の篭る屋上は夏の匂いと洗剤の匂いを混ぜ、奇麗な水色は洗濯物と雲の白さを重ねて居た。
ジワジワと鳴く蝉、姉の喚きに良く似て居た。本人達は意味あり声を出して居るが、周りからすれば雑音以外の何物でも無く、無意味で、不愉快な代物。
――お母ちゃん、お母ちゃん御免為さい…
其の日昴は、何故か知らん、女の格好をして居た。薄い水色のパフスリーブのブラウス、襟の真ん中にはブローチ、長いネックレスが幾重にも平べったい胸の上に流れる、濃紺のフレアスカートは大きな白い水玉模様で、頭には鍔の広い白い帽子、靴は帽子と同じ色だった。
屋上に呼んだのはわし。裏口から入ったので、職員に見られては居ない。此の半年、何(ド)の時間に何のルートを通れば職員に見られず屋上に行けるか調べた。前々から少し、本の少しの人間らしさでわしを見て居た姉には気付いて居た。昴の来ない日はわしが様子を覗きに来た。何をする訳でも無く、一時間程読書をし、帰り際頭を撫でてた。二ヶ月すると姉から声を掛けた、今日はと左様ならだけを。
――屋上に、猫がおった。
勿論嘘。屋上に行っても居ないし、六階の屋上に、如何遣って猫が進入出来るか、廃墟じゃ無しに。
姉は布団から視線を流すと「猫?」と枯れ葉の揺れ程の声を出した。
――そ、猫。猫、好きか?
――好き。
――ほんま?わしも好き。
此れは本当。
――見るか?
頷きはしなかったが、布団を撫でる所を見るとそうなのだろうと、姉を抱え、調べ上げたルートで屋上に行った。
人には会わなかった。
其の屋上、ベンチに座る昴に姉の神経は逆立った。悲鳴に為らない声を漏らし乍ら屋上から逃げ様とするが、混乱した頭では如何遣ったら此のドアーが開くのか理解出来ず、只管に掻き毟った。
無言で近付く昴から姉は逃げ回り、洗濯物を薙ぎ倒し、踏み付け回った。
昴が近付き、腕を伸ばす度姉は錯乱し、喉に悲鳴が張り付いて居た。実の姉を死に追い遣る昴の顔は、青空みたく澄んで居た。
最後に姉が見たのは青空だったのか、母親だったのか、昴だったのか………。
全くそんな事を考えない昴は、姉が落ちたのを確認すると、誰にも見付からぬ様病院から出、二時間程して普段の格好で“面会”に来た。
「……頭?」
「え……?」
京介の声に周りが見えた。
何だ此の男は。
一瞬思ったが、無様な格好にしたのは他為らぬわしで、床に散乱する茶色い液体を眺めた。目の前で無様な格好晒す男が無様に尻から吹き出した物で、強烈な臭いを発する。何とか煙草で誤魔化そうとしたが無理な話、三本目の煙草を消した。
「オジサマ。」
男は微かに肩を揺らし、身構えた。
「もう、アホな事はせんな?」
申し訳程度に頷く姿に、姉の姿が重なる。
「昴がおらん間、仕事が二本流れたんや。オジサマ、其れを埋めて呉れませんかね。」
見えて居るか判らないが、立てた三本の指を見せた。京介は「頭えぐいわ」と男に同情見せるが、顔面は嫌と云う程入り込む大金を考え歪んで居る。
男からして見たら、こんな無様な写真をばら撒かれ、信用を無くす位なら、提示された金額位易い程。
「勘違い、してへん?」
「え…?」
切れた口内で声は良く聞き取れなかった。
「三千ちゃう、三萬や。」
三萬…。
其の桁外れの金額に赤黒く変色する額に汗が滲み、脛毛が逆立った。常識外れの金額、横で煙草蒸す京介ですら固まった。
「頭…?」
「御冗談、でしょう…?」
「冗談な訳あるか。昴を二ヶ月監禁して、好き勝手して、其の間仕事二本流れたわな。なのに三萬で済ますとか、わしは菩薩か。」
此の国の頂点に居る内閣総理大臣の月収は千円、一年で一萬二千円、其れの二.五倍。男の引き攣りも京介の引き攣りも良く判る。昴にそんな価値があるとは微塵も思わない、寧ろ、目障り極まりない昴を此方が大金渡して監禁して居て欲しい程。昴が姉をそうした様に。
だったら何故そんな大金を引こうとするか。
男が金を持って居るから他為らない。無いなら、昴が幾らわしに助けを求めても無視をする。昴から金を貰わぬ以上、守る理由は無い。
利用出来る相手だから利用した、簡単な話。
「大きに、相模さん。」
来た時と同じに部屋を奇麗にし、誰が如何見ても紳士に見える様男を元に戻した。皮張りの椅子にぐったり座る男に笑顔を向け、指先を震わす秘書の手から小切手を貰った。生気失せた部屋から出、其の小切手に唇を付けた侭京介に笑い掛けた。京介は、引き攣り乍らも、手元に来る大金に涎を飲み込んだ。
「共犯、な…?」
「一生頭に付いて来ます。」
犬の頭を撫でるみたく、助手席に座る京介の頭を、髪を、ぐしゃぐしゃに乱した。
後部席に座る大金、トランクに居る昴。
手元にある大金は、五千円程京介に渡しただけ、後の二萬五千円は、全てわしの物。
ビルでも建てたろかいな。
其れを貸し、又金を手にする。
「朝迄飲むでぇ。」
「付き合いますわ。」
「当然や。あ、せや。相模さん呼ぼや。」
「何でです?」
「元は相模さんの金やろ、金はもう移したし、ネガ渡さな為らんわな、序でや、極道の本気の接待見せたる。あの紳士にな。」
「頭、格好良え、痺れるぅ、抱いてぇ。」
「おお、抱いたるわ、御前が女ならな。」
「頂いた金で性別変えて来ますわ。五年位待ってて下さい。」
極道の本気の接待、其れは此れから先一生、わしに付き纏わられる事を意味する。良い時にも、悪い時にも。
問題は無い。世の中から一人、男娼が居なく為っただけの話。姉が世の中から消えた事と、意味は一緒。わしにも、世の中にも、何の問題も無い。
蝉が死んでも、誰も見向きしないのと、同じ話。




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