神の悪戯 悪魔の宴


キースとシャギィ、同じ色気の塊りなのに、其の色は似て非為るものだった。
キースの色気は、一方的に俺を誘い、絆し、突き落とす。色気で俺を支配する。其れに溺れる。始めからそう為る様仕組む艶で俺を見詰める。だから、嗚呼もう如何にでも為れって、キスをする。
シャギィの色気は、君が誘うから俺も誘うんだよ、と云う、対等な色気だった。例えるなら兄妹で、兄の男の一面をふいに見た感じ。玄関先でキスしてたとか、本当そんな。其れを見て、「嗚呼、男何だ」って云う認識が持てる、あるだろう?そう云うの。恋人にキスした侭妹に気付いて、視線だけ流して、ふっと視線を恋人に戻して離れる。其れで男の顔から兄の顔で「御帰り」何て、笑顔を向けるんだ。
シャギィの色気は全く其れだった。
「身長は変わってないのに、手は一回り小さく為ってるんだ。」
御手々の皺と皺を合わせて倖せ、…俺は何を云って居るんだろう。でも、其の、握り合って居る訳でも無い、重ねただけの仕草は心が温かく為った。
「ふぅん。えいっ」
「痛…っ」
関節を曲げ、指先を圧迫、反らされた。
「あはは、手に余るね。」
「離して呉れないかい。」
釈然としない俺はシャギィから手を離し、睨んだ。だけど俺を見る其の、奇麗な目を直視出来無くて手に向いた。こっちを向かせ様とシャギィは俺の頬を撫で、甘えた声で俺を呼ぶ。
「ヘーンリ。」
「絶対に見て遣らない。」
「んじゃ、向かせちゃお。」
首の骨が折れるかと思った。痛い、と喚くと、あはは、笑ってキスを呉れた。
シャギィの唇は、本当に柔らかい。マシュマロで出来てるんじゃないかって位柔らかい。キースのは、シフォンケーキ。尋常じゃ無い柔らかさ何だ、シャギィの唇ってのは。此れでバニラの匂いのするグロスでも付けてたら、俺は間違える。
がぶって、噛んじゃう。そして、舌の上で転がして、飲み込む。
舌も、凄く柔らかい。マシュマロの舌と唇で俺の上唇を挟み、俺が舌を出すとにやって、口端動かし引いた。
「意地悪な。」
「今度はヘンリーからして。ヘンリーのキス、溶けそう何だ。」
アイスみたく、身体が溶ける。シャギィはそう云った。
俺は其の侭顔を近付けて、跨がった。キースとの時は同じ方向向いて座った。シャギィとは、向かい合って座った。
良いね、浮気らしいよ。
全く同じって、詰まらないだそう。
貪るみたいなキス、シャギィは俺の顔と髪をぐしゃぐしゃにして、俺はシャギィの首筋を仕切りに撫でた。
又、又だ。
キャンディが、ずくずくし出した。
座って居ると圧迫され、嫌でも判るから腰を浮かせた。
上下に動き乍らキスは続けた侭、シャギィのジャケットの釦を外し、床に放り捨てた。シャギィの手は、片方首を押さえ、片方は横腹や背中を撫でた。肩に乗せる手にはシャギィの熱さが張り付く様に伝わり、興奮し切った俺達は一度唇を離した。
「ううん、情熱的。」
「嫌いかい?」
「いいや?大好き…」
又キスをして、キャンディの疼きは腰に迄登って来た。キスした侭ではまともに呼吸出来無い所為か、首筋を丹念に愛撫された。
「シャギィ、嗚呼シャギィ…」
シャギィは俺の臀部に手を添えると其の侭持ち上げ、ベッドに寝かした。此の動きは余りにもすんなりとした滑らかさで、驚いた位だった。
キース、少しはシャギィのスマートさを見習った方が良いよ。元部下に負けるって、余程だよ。
シャギィの身長が高い所為だろう、上に乗られるとかなり圧迫感があった。熱い手は臀部や股を撫で、首筋の愛撫は続けて居た。
シャギィ、君、今からでも遅くは無いよ。女の子と結婚しなよ。屹度良い旦那に為る。毎晩こんな風に抱かれたら、一生離れられないよ。
「シャギィ…、シャギィ…」
名前を呼ぶ代わりにキス、舌先を互いに撫で、こつんと、全ての愛撫を止めて額を付けた。
「止めて、ヘンリー。」
「何が?」
「そんな風に俺を呼ばないで。」
無理矢理笑って居るのが判る。
「シャギィ、シャギィ…」
何でこんな、何でこんなに可愛いんだい。押し潰されそうな程胸は苦しく為って、俺もだよって、抱き締めた。
「…ヘンリー…、止めてよ……、もっと好きに為るから…」
シャギィ、ねえシャギィ。
俺達もっと、早く出会ってれば良かったね。
此れは浮気じゃない、本気だよ。
女の俺は、本気で君を愛してる。




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