神の悪戯 悪魔の宴
そうだよ、気付いた。女の子同士って、果てが無い。気が付いたら朝だったって、ディアナが云って居たのを思い出した。奇麗な目が少し淀んで居たから「体調悪いの?」と聞いたら、「体調は頗る良いの」って、其れを聞いたバッカスさんが、にやって笑って咳払いした。
身体には絶えず快感が波打って、波打際で寝転がって波に背中の砂を持って行かれるとか、そんなんじゃない。もっと苦しくて、深い場所に居る。真黒、真黒な中に沈んでる。
此れは気付いたら朝にも為る。
俺達は毎回、終わると時計を見る。疲れてるからね、何時間寝れるか計算する。
女の子は違う、そんな事、考えないんだ。ずっと、此の真黒な快楽の中に居るんだ。
「シャギィ、もう駄目…。もう良い…」
頭が腐りそうだった。
腐り掛けの頭を両手で押さえて、必死に原形維持をして居た。
波に持って行かれそうな身体を、シャギィの両手が、腰を掴んで引き取めて居た。此の手が離れたら、重石を付けた俺の身体は音無く海底に沈む。シャギィは其れ知って居るのだと思う。
「未だ駄目、うんと気持良くしてあげるんだから。」
「充分だって…頭が腐りそう…」
足元から聞こえる声なのに、平行感覚無くした所為か、四方から聞こえた。ヘッドフォンみたく頭に直接来るんじゃ無くて、シャギィの声を入れたバルーンを頭から被って居る様な、ぼわんと歪んだ声だった。
「今、人差し指入れてるんだけど、痛い?」
「平気…」
「もう少し奥迄入れるけど、痛かったら云ってね?考えるから。」
「うん…」
自分の声が、口の中で反響して頭に聞こえた。だから、シャギィに聞こえたかは判らない。
第一関節迄、最初は入ってた。少しづつ圧迫感が増えて、多分、第二関節との間位だと思う。少し痛かった。
頭は腐って、身体は沈んで、なのに新しい刺激には応えた。片足が痛さで少し上がって、シャギィは其れを見逃さなかった。
「痛かったね、御免ね。」
跳ねた足にキスをして、撫でて呉れた。
「もう面倒臭い、一気に入れて呉れ…」
此れ以上こんな場所に居たら、本当に頭が腐って仕舞う。如何せ何をしたって痛い事には変わり無いんだ、急所を外してじわじわ嬲り殺されるより、鈍器でがつんと或いはナイフでぐさりと殺された方が良い。
「痛いよ、絶対…。俺、判るもん…」
「何で。」
「俺、最初、無理矢理だったから。」
内股にキスの愛撫を受け乍ら、シャギィの暗い過去を聞いた。道理で丹念な筈だ、判るから少しでも痛くない様にと考えて居た。
シャギィ、君って、優し過ぎるよ。キースに分けて遣って。
泥沼から這い上がる様に身体を起こし、両手でシャギィの頬に触れた。
「来て、シャギィ。」
「本当に痛いよ、気絶する位。」
「煩いな、早く。」
「はい…」
俺は一刻も早く、此の場所から抜けたいんだ。此れ以上こんな場所に居るなんて御免だ。泳いでも泳いでも一刻に岸には辿り着か無くて、其れ所か、離れて行く。前に進んで居るのに、実際は流されて居る。
何も、そう感じて居るのは俺だけじゃない。シャギィも同じ場所に居た。
本能が剥き出しの状態で理性を保つのって、至難の技。俺が何時もそうだから良く判る。
嗚呼若しかしてシャギィ、其処も同じだった?自分の快楽より、相手の快楽を優先させた?
今知ったよ、其れって凄い生殺しだ。
「ローション、全部使って良い?」
「ん?少なくないかい?二日前に見たから判る。」
「足りるよ。」
「新しいのなら、クローゼットにあるよ。」
「態々有難う。」
少し怒ってた。何で怒るんだい。
シャギィの手に垂れるローションを見ただけで、キャンディは疼いた。腹とは違う、少し下の場所がどくんどくんと、はっきりと見て判る程打って居た。掌で温めて、舌とは違う滑り気に力が抜けた。
「痛いの我慢して。」
「おぅけぃ…、任せて…」
本当は怖いけど、親指を立てて笑って見せた。少しはシャギィも気楽に為るかなって。
仕様が無いだろう、性分何だ。ベッドの上で気を使うのは性分何です。他の所では使わないけど。
最初は奥迄行き成り一本、鈍い痛みだった。二本目の中指が入った時、裂けるかと思った。指二本でこんなに痛いなんて、女の子って、大変だ。キースも大変だったのかな。
掌に残ったローション、キャンディに絡み付いて、指を動かされた。
腹じゃない、もっと下、其処に重い振動が来た。ウッドベースの様な、重たくて心地好い振動。
「あ?嗚呼…っ?」
「少し、此れ続けるから。」
何時の間に足元から離れたのか、シャギィは被って居た。
「ヘンリーさ。」
「うんっ?」
「日本のチェリー、見た事ある?」
「チェリー?チェリーブロッサム?」
「桜じゃなくて、チェリー。」
「いや、無いか、も…っ」
息をするのがやっとなのに、君は会話を求めるのかい。
「ヘンリーの胸さ。」
「小さいって?煩いよっ」
「違うって。」
シャギィは笑って、美味しそう。口を開けた。
ハロルド・ベイリー、生まれて初めて、乳首を舐められました。気持良いです、凄く。
「シャ…ギィ…」
「嗚呼、そうだね。足の力抜いた方が良いかも。」
胸を舐められた気持良さで片足の力が抜けた。俺から見たら、九時五分を表して居た。
力が抜けたからか、指はもう少し奥迄来た。
下のがキャンディなら上のはチェリーで行こう。
俺は、キャンディとチェリー、そして中から重く響く快楽に喘いで居た。自分の身体で無いみただった。泥沼とか海底とか、一体此処は何処だろう、本当に自分のベッドに居るんだろうか。
「駄目…嗚呼駄目、来る…」
「イって、ヘンリー。慣らした方が良いよ。」
「もう良い、もう良いよ…っ」
「駄目、絶対其の方が気持良いから。」
ライオンに睨まれるのとチーターに睨まれるの、何方が竦むだろうか。
黒い目からうっすら見える青さ、嗚呼、そうだ。
シャギィの目の中に、俺は居るんだ。だから、苦しくても快楽に繋がって居た。
又、世界が爆発した。
凄い速さで下腹部は脈打ち、引き抜かれた指の動きにも声が漏れた。
「少し血が出た。」
「嘘…?何、で…」
「最初って、血が出るんだよ。俺、処女とした事あるから知ってる。」
怪我とかじゃなくて良かったけど、処女膜に付いて詳しく話して呉れ無くても良いよ、別に。
「ゴム要る?俺、病気無いけど。此の間検査したから大丈夫。」
「いや、好きにして良いけど。」
「んー…」
こうして見るとシャギィのって、俺より大きいな。身体が大きいからかな。
又だ、キャンディが俺を呼んでる。
「シャギィ…?」
「ん?」
「一寸、寝て。」
「何?」
「御返し、しなきゃ、ね?」
シャギィは逃げる様にベッドに座って、俺が腰を掴まれたのと同じに掴んだ。
「んー…駄目…」
与えられた熱にシャギィは、艶をたっぷり含んだ息を漏らした。
「駄目じゃないでしょ?」
「駄目じゃないけど、さあ…」
シャギィがキャンディを一杯舐めた様に、俺もキャンディ“スティック”を舐めた。俺はやっぱり、こっちの方が良かった。快楽に突き落とされるより、突き落とす方が性分に合ってる。
「バニラアイスは?」
「出しませんっ、あっははっ、あは…っ、は…」
段々とシャギィの声は溶け始めて、可愛い姿を見せて呉れた。
シャギィ、如何してそんなに可愛いんだい。全部、全部全部食べたく為る。
「嗚呼、もう駄目…っ。離して。」
「もう一寸。」
「駄目駄目。」
逃げるシャギィに被さり、顔に沢山キスした。其れでも逃げ様とするシャギィに顔が緩む。
「待って待って。」
「何?」
「逆、此れ、逆。」
「嗚呼。あっはは、御免。」
何時もの癖で、臀部を撫でて居た。キャンディスティックは無いのに、入れる気満々だった。
唇を重ねた侭俺は背中にシーツの冷たさを知った。
「危ないなぁ、もう…」
「物があれば、入れてる所だったよ。」
「其れも魅力的だけどね。でも今は。」
ローションを垂らした手でキャンディスティックを濡らし、キャンディに熱を知った。
「こっちの方が、魅力的かな?」
骨が砕けるかと思った。何だい、何処の骨だい、此れは。
上の口にはマシュマロ、下の口にはキャンディスティック、作り立てみたく、熱かった。
「痛い…?」
「平気…」
「少しじっとしとくね。」
シャギィの血流を中で感じた。とくんとくんと、優しく打って居た。
動かれたら痛いのは、遣る前から判る。生殖器其の物が痛いんじゃ無くて、骨が痛いんだ。
其の痛みを和らげる様にチェリーを吸われた。
「小さくって可愛い。」
「キースは巨乳が良かったって。」
「うわ、最低。判ってないな、キース。大事なのは胸じゃないよ。」
「何処?」
「足。」
上体起こしたシャギィは膝をベッドに付き、太股に俺の足を乗せた。振動で又鈍い痛みが来る。其れに此の圧迫感、違う苦しさだった。
「ヘンリーの足って、奇麗だよね。」
足先からゆっくりと腰迄撫で上げ、本当に奇麗、繰り返した。其の侭臀部を掴み、心臓に矢が突き刺さった。最奥を突かれ、痛かった。
其処全部が痛かった。ばらばらに砕けそうな鈍さと、引き千切られそうな鋭い痛みだった。二つが良い具合に絡み合って、ベッドの揺れに身体を預けた。そうする事が最良だと思った。
「痛いよね、御免ね…」
痛みで声は出無かった。唯、シャギィが教えて呉れる揺れに、漂った。胸は全くと云って良い程揺れないけど。
何だろう、シャギィの顔は可愛いのに、寂しさを感じた。一人置いて行かれた気分に為って、思わず両手を伸ばした。
「シャギィ、シャギィ…」
「何…?如何したの…?」
泣いて居たのか、優しい吐息と笑顔、一緒に目を触られた。優しい其の声と笑顔に胸が締め付けられて、目眩が起きた。ぐらぐらと頭の後ろが歪み、なのにシャギィははっきり見えた。
甘い、本当に甘い陶酔感と痺れが心臓から沸き上がり、喘いだ。勝手に、声が漏れた。
「ギュッてして…。何か、寂しいよ…。シャギィが遠くに居るみたいで…」
シャギィの顔は、一瞬引き攣った。不味い事でも云ったか、そんな顔をされた俺は又泣いた。
「大丈夫、大丈夫だよヘンリー。此処に居るから。ずっと傍に居るから。」
力強くベッドから引き起こされ、足に座った。一杯、一杯、もう沢山、キスが出来た。舌が絡み合う様に俺達も絡み合って、熱い息遣いが部屋に溢れた。
身体を引き離すのが、こんなに億劫で寂しさを伴う何て、キースは教えて呉れ無かった。若しかすると、キースは毎回そう感じて居るのかも知れない。何時も事が終わったら俺はシャワーに行くけど、キースは決まって、ベッドに寝て居た。弱い瞬きを繰り返し、縮こまる。寒いのかなってタオルケットを掛けるけど、違ったんだ。身体に残る熱を逃がさない様にだったんだ。
そして云うよね、
「愛してるよ…ヘンリー…」
って。
熱を閉じ込める為にキスをした。
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