カルキをソーダで割ってみた、特に理由はありません
「橘です。時恵様の主治医、と大それた事は申せませんが。菅原先生ぇから診る様にと。」
深く頭を下げた。
宗一と似た様なアクセントで話すが、違う侑徒の言葉に時恵は瞬きを繰り返す。先生ぇ、と云う響きが可愛く、時恵は笑った。
身の回りの世話は東京から連れて来た者がする。侑徒は進行を遅らせるだけで何か出来る訳では無い。毎日朝昼晩と血圧を測り、薬を与え、其れだけだ。
其れだけでも時一に似た雰囲気を持つ侑徒に時恵は安心した。
「橘先生を見ていると、時一を思い出しますわ。」
朝方帰国した時一の事を云われ、侑徒はどきりとした。
「そぉですか?」
「ええ。」
笑う時恵に侑徒もつられて笑った。
嗚呼、悪人はのさばり腐ってこないなええ人が何ぼでも死にはるんやわぁ。
侑徒の気持は虚しく、一日でも長く時恵が生きてくれる様にと、普段信じても居ない神に頼んだ。
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