崩壊するしか道が無い
車に揺られ、横に座る雄一の顔を折は見ていた。一体自分が何処に連れて行かれるのか判らず、理由を聞く前に車に乗せられた。大門を出る迄に聞けば良かったのだが、怒りを孕む雄一の顔に、何も聞けなかった。
「ねえ、公爵。」
「ん?」
「何処に、行くの?」
「私の家だ。」
尤も、もう自分の家ではないけれど、そう皮肉を云った。
「今から妻と、離婚調停に入る。」
簡単に云う雄一に、折は眉を顰めた。自分の所為で離婚になったのかと。すると雄一はそんな深刻な事で折を連れ出した訳ではないという。
「私が妻と会っている間、別室で良いから、傍に居て欲しいんだ。」
そうすると、強くなれそうな気がするから、と。折は俯き、そんな事で良いなら、何処にでも居るよ、と雄一の手を握った。
雄一が云った理由は、確かに本当だが、妻の事だ、浮雲に会わせろというに決まっている。会わせなければ店に押し掛けそうで、折だけを連れて来た。其れに、折は頭が良く、短気だ。妻との会話を聞けば、何も云わず共自分の変わりに云いたい事を云ってくれそうだった。
そんな期待で、折の手を握り返した。
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