おぜうさんと本郷家


約束の時間依り少し早く龍太郎は時恵の前に姿を現し、軍服を着ていない龍太郎に時恵は頬を赤らめた。笑顔の宗一と時一に対し、不機嫌な顔で自分を睨む和臣に龍太郎は冷めた目を向けた。
「木島元帥、此れからは、御義兄さんと御呼びした方が良いですか。」
「未だ結納も済ませて無いだろう!」
「明後日が結納、来月には式です。」
「来月!?何時決めたんだよ!」
「え、今私が勝手に決めました。」
飄々と云う龍太郎に和臣は顔を怒りで一杯にし、来月なのかと木島は頷いた。
「来週から俺、北海道行くんだよ!一ヶ月!」
「嗚呼、御旅行ですか。行ってらっしゃいませ。」
龍太郎は其れを知っている。だから来月に式を挙げると云ったのだ。
「父さん!何か云ってよ!」
木島に助けを求めたが、其処に行くのは御前の勝手だろうと、冷たくあしらわれた。
「では、行って参ります。」
鳶を揺らし、龍太郎は時恵の手を支えた。身長が高いと様になるなと、背の低い和臣を見、時一は鼻で笑った。
「何で笑うのよ。」
「いいえ?」
同じ姿を和臣がしてもこうはならないだろうと、現に一度見た時、其のバランスの悪さに笑いが出た。同じ顔をしているのに色々可哀相な兄さんだと、嬉しそうな時恵の横顔に時一は息を漏らした。




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