熟れた罪


激しくドアーを叩く音が聞こえる。
「おい、拓也。今の銃声は何だ。」
夜中にあんな音が、聞こえない筈は無い。
聞いた龍太郎が叫んでいる。
俺は何も出来ず、彼女を抱き締めた侭、聞いていた。
「拓也、居るんだろう。開け―。」
施錠していない。其れに気付いたのだろう、ドアーが開く音がした。
近付く足音。探す声が聞こえる。
「血の、臭い。」
鼻の良い龍太郎だ。こんなに血が流れているから、直ぐに場所は判るだろう。思惑通りに、後ろで、足音が止まった。
「おい、拓也。今の音―――。」
振り向いた俺に、龍太郎は言葉を無くした。
「よお、龍太郎。」
俺は、笑った。




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