04

時は遡りーー出久とそらが出会った日の夜。
とある高層マンションの一室。

それは帰宅後に告げてきたそらの一言から始まった。

「ごめんなさい」


とした顔の少女に目の前のソファーに座る女性はため息をついた。私は悪くないといった顔の少女に目の前の女性−−宮間 早百合はそらのほっぺたをえいっ、とつまんだ。

「もうっ心配させないでよ…そらは可愛いし誘拐でもされたんじゃないかって冷や冷やしたんだからね!!」
「ごひぇんなひゃい……」
「それに足も…靴履かないから傷だらけじゃない」







そう言って早百合が目を向けたそらの足は裸足で地面を歩き回ったせいで足の裏はもちろん、至る所にかすり傷ができていた。傷跡が残ったらどうするのと心配する早百合をよそにそらはなんてことないといった様子で“個性”を発動させた。

「さゆりさん大丈夫だよ。再生の“個性”で−−ほら、」
「!!」

“個性”を発動した瞬間、そらの言う通り彼女のかすり傷はみるみるうちに塞がっていき、ものの数秒で跡形もなくなってしまった。まるで何もなかったかのように修復されたその体。その様子に早百合は一瞬驚いたが、「そういうことじゃない」と彼女を小突いた。しかし、少女はなぜ小突かれたのか分からず、頭上にはてなマークを浮かべた顔で彼女を見つめていた。

「まぁ…いいわ。今度からは靴履いていきなさいね」
「お外出てもいいの!?」
「ちゃんと靴履いて、コレもっていくならね」

コレといって早百合が取り出したのはピンク色の子ども用ケータイと言われる物だった。そらの首にかけられるように長いストラップがついたもの。それをそらの首にかける。誰とでも会話ができるのよ、と携帯電話の取り扱いを話すとそれなら!と彼女は声を上げる。

「としのりさんともできるの!?」
「俊典…は電話よりメールがいいかもね」

アイツ忙しいから、と言うとそらは一瞬残念そうな表情を浮かべたが、じゃあ めーる教えて!と早百合にせがむ。その様子に早百合の母性はくすぐられていくのであった。

(ゆっくり、ゆっくりと)