月と陽炎



夜の帳が晴れるように世界は白く輝きだした。その陽炎に焼かれるように、何もかもが溶けてくような気もした。まるで白ずんだ空に月がかき消されるように。

なんて、安らかな。

そう思って、目を閉じた。
そうだな、欲を言えば…いや、もう、やめよう。

「─────」

ああ、この声は届いただろうか。とても伝えたい一言だった。声は出ただろうか、口はちゃんと動いていただろうか。

もっと早く、友と再会できていたら。彼女と出会えていたならば?

思わずにはいられなかった。
しかし同時に失笑した。
何も変わるまい。他の誰でもない、己が選んだ道ならば、きっとどんな出会いを経てもここへ辿り着いた。
これが現実であり、真実なのだ。
歴史修正主義者のような思考回路など、捨ててしまえ。

だって彼女が言っていただろう。

誇り高き刀剣男士だと。


ああ、そうだ。
俺は誇り高き刀剣男士だ。

 
モドル
手を