※「団らんご飯」でのボスとのお料理中のおはなし。
「なんでディアボロさん出てきちゃったんですか」
「名無子を手伝ってやろうと思ってな。知っているか?これでも料理はそこそこできるんだぞ」
「自分で死亡フラグ立ててることに気が付かないんですか?」
「た、立ててない……!」
少し焦っている様子を見る限り台所で死んだことがあるのだと直感した。多分一度だけじゃないな。
「オレが手伝うのは不満か?」
「だってディアボロさんの血が入った料理で喜ぶのなんてDIOさんくらいですよ」
「死ぬことを前提とした話はやめろ!」
台所なんて歩く死亡フラグのディアボロさんからしてみれば処刑部屋みたいなものじゃないのだろうか。殺傷能力のある道具がそこかしこにあるのに。
私の心配を余所に、ディアボロさんはエプロンを付けてすぐ隣に来た。
「上半身裸に……エプロン……」
「吉良だっていつもコレ付けてるだろ」
「それはそうですけど」
「似合ってるか?」
返事はしなかった。
「よし、作るか」
どうやら本当にに手伝う気でいるらしい。正直役に立たなさそうだけど、善意を突っぱねることもできない。変人達に囲まれて暮らしている私でもちゃんと良心はある。
「レタスとキュウリを冷蔵庫から出してもらえますか?あ、トマトも切りましょうか」
「わかった」
素直に私の言うことをきくディアボロさん。
普段自分のことを「帝王」と呼ぶ人をあやつるのはなんとも不思議な気分だ。悪くはないかもしれない、けど。
「包丁はどこに」
「危ない!」
ディアボロさんが包丁に手を出せば、包丁はディアボロさんの心臓めがけて飛んだ。
「い、いまのは」
「だから言ったじゃないですか。もー……」
このまま刃物を持たせていたら危険だと感じた私は、代わりにハンバーグを焼いてもらうことにした。しかし、今度はそれまで普通に使えていたコンロの火が突然暴走してしまう。
「こんなに身の危険を感じた料理は初めてです……」
たった十分程度で一年分くらいの精神を削られたんじゃないだろうか。仕事でも疲れたのに家でもこんなに疲れるなんて。というか仕事より疲れた気がする。
「名無子がいなければ五回は死んでいたな!」と嬉しそうにするディアボロさん。冗談に付き合えるほど余裕はない。
ディアボロさんは懲りずに「次はどうすればいい?」と言うものだから、私は「ドッピオ君に替わってください」と、満面の笑みで返した。