暑かった夏も過ぎ、秋も過ぎ、そろそろコートが必需品となってきた今日。
季節は巡り、また今年も冬がやってくる。ここ荒木荘でも、いつもと同じような見慣れた光景が繰り広げられていた。
「暇ですね」と、名無子。
「そうだな」カーズは暇そうに返した。
「何かないですか?」
「あったらこたつの中でただじっとしてなどいないだろうな」
「じゃあDIOさん」
「右に同じだ」
「っていうか、このパターンもそろそろ飽きてきません?」
「そういう発言は控えるのだ」
「ところでディアボロさんどこいったんですか?」
「ディアボロか……さっき玄関前で死んでたな」
こたつに入れている足を組み直してから、名無子は「そうですか」と呟いた。
机の上にある蜜柑はもう何個食べたかわからない。吉良さんが一昨日安かったからという理由で買ってきてくれた蜜柑だ。小さいが甘くて美味しい。
剥いた皮を眺め、湯船に浮かべたら蜜柑風呂になるかな、と名無子が考えていた時。
ガタン。外で大きな物音がした。
「もしかして」
「生き返ったんだろう」
一ミリも動きたくない三人は、こたつに入ったまま顔だけを向けてじっと玄関を見つめる。
ドアノブがゆっくりと回った。予想通り、開いたドアの奥にはディアボロが立っていた。
その手にはなにか持っているようだった。
「ただいま!帰ってきたぞ!!」
「おかえりなさーい」
「ディアボロ、声が大きいぞ。また食われたいのか?」
「丁度おやつの時間なのだ」
「帰ってきて一発目にその話はやめろ!!」
ちらと時計を見るカーズと、目を光らせるDIOに一瞬怯えるディアボロ。
だが、次の瞬間にはもうその様子は無く、何か言いたげに名無子の顔を見ていた。
「……ディアボロさん、どうかしたんですか?」
「聞いてくれるか、名無子!」
「まあ……」
内心鬱陶しいという顔をする名無子に対し、「実はな」と、嬉しそうに小汚いボールを目の前に出したディアボロ。
「さっき下でボールを拾った!」
「よくやったぞディアボロ、これで暇をつぶせるな」
「餌の分際だがなかなかいい働きだ」
「お前ら……」
呆れるディアボロをよそに、人外二人は早速その手からボールを奪いとった。
「ディアボロ、ここに立て」
玄関の前を指さし場所を指定するカーズ。何かを行おうとしていたのはこの場にいる全員がわかったが。
「何をするんですか?」
名無子が聞いた。
「ボールを投げる」
「部屋の中で!?」
「ディアボロの腹にあたったら十点、腕と足に当たったら五点、あとは……そうだな、顔に当たったら百点といったところか」
「虐待!ダメ、絶対!」
「虐待ではない、ドッヂボールなのだ」
「そんなドッヂボールあってたまるか」
(家族で15題/TOY様)