「どうしてボクの方を見てくれないの?」
「髪の毛柔らかいねー。ふわふわだ」
「名無子はいつもいい匂いがするよね」
「綺麗な肌なんだから旅に出かけるときは気を付けるんだよ。いや、もういっそずっとここにいてくれてもいいんだけど。あ、でもそれだと図鑑が集まらないのか」

「博士」
「なーに?」
「邪魔です」
先に言うが上の言葉はほぼ博士の独り言で、私は返事どころか相槌すら打っていない。
「ボクもそのマリルリみたいに頭なでなでしてほしいなーと思って」
「いい年した大人が何言ってるんですか?気持ち悪いです」
「キミはそのマリルリとボクどっちが大切なの?」
「勿論ルリです」
「だよねえ!」
そもそも私と十以上も離れた大人が、マリルリに対してやきもちを焼くのがおかしいと思う。

私がルリと遊び終わった後もいまだにうるさいので、仕方なくご希望通り撫でてあげると、「名無子大好き!」と力強く抱きしめられた。ちょっと苦しい。

「そろそろ出るので離してもらえませんか?」いかにも鬱陶しいという顔で言う。
「つれない素振りは気を引く為なんでしょ?知ってるよー」なんて言っていたが見当違いもいいところだ。

「違います。お隣さんとバトルしようって約束してるんです」
「お隣さんと?」
私の言葉を聞いた途端がらりと雰囲気が変わる博士。
しまった。マリルリにすら嫉妬する博士のことだ。お隣さんにもしかねない。お隣さんは、男の子だ。
でもここで慌てて言い直せば余計に怪しまれる。私は続けて言った。
「心配しなくて大丈夫ですよ。絶対に負けません」
「そっか、ふーん」
少しびくびくしていると、博士の手がすっと伸びた。ぎゅっと目を瞑る。
「頑張ってね」
怒られるのかと思いきや、逆に撫でられた。
「あ、ありがとうございます」
優しくて、あったかい。なるほど、博士が撫でて欲しいと願ったのも、ルリがあんなに喜んでいたのもわかる気がする。
「それじゃあ行ってきます」
「ねえ」


「今、目を閉じたのってキスを待ってた?」
「違います!」



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女主人公だけどnotセレナちゃんです。
時々雑巾のにおいがするマリルリ♂を可愛がっています。
殿堂入り後で、博士とは既にお付き合いしている仲です。

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