スタンド使い2


師と仰ぎ最近付いてまわっているスーパーヒーロー承太郎が警察に捕まった、と聞いたらば様子を見に行き、差し入れの一つでもするのが、弟子としての務めである。彼奴は未だ未成年なので皆んなが大好きなオレンジジュースがいいな。うん。
そうして行ったら承太郎の母様やお祖父さん、異国の占い師の方に出会った。きちんと弟子だと挨拶した。何故か承太郎に睨まれた。
例の青い人を彼らも見えるらしい。私も見える、と言ったら流れ的に彼らに連れていかれ、話を聞くことになった。
ふむふむ、悪いやつDIOの目覚め、か。由々しきことだな。倒さねば。

承太郎の母様が、DIOのせいで命が危ない。更に承太郎のところにはスタンド使いの刺客が来たのだとか。私が世をしのぶ為の小学校に行っている間に随分いろいろ有ったのだな……。承太郎達はDIOを倒しに行くらしい。これはついて行かない道はない。
いざ行かんDIO退治。
というわけで空条家にお邪魔して説得している。

「承太郎おお! 私をお供に連れていけっ、吉備団子も無しに戦ってやるぞ!」
「……はあ、昔話とは違うんだ。ガキはお呼びじゃあねえんだぜ。」
「ええっ!?……なら仕方無いな。うん。……そうか、ガキは、か。」

なら、大人なら良いんだな。ニヤリ、とその場でスタンド能力を発動する。すると、みるみる内に自身の体が大きくなり、凡そ高校生くらいの見た目になった。服もその体に合わせて制服に変更済みだ。
少し目を見開き驚く承太郎に鼻が高い気分になる。どやあ。尚、この能力による頭脳の変化はないが、私は賢いので問題ない。

「それが、お前のスタンド能力か……。」
「へへん。どうだ?凄いだろう。他にも色々出来るんだからな!」
「おお? 誰じゃあ、このお嬢さんは。さっきまで女の子が居たはずだが……。」

先程まで母様の様子を見に行っていた承太郎のお祖父さんと占い師の方が、部屋に戻ってきた。ふふん驚け驚け。今の私は正義の小学生では無く、正義の女子高生なのだ。

「なにぃ〜? このこがあの小百合じゃと!? 信じられん。」
「正義の申し子とは私の事! ジョセフ殿、この成長した姿で役だって見せましょう。」
「あ、間違いなく本人じゃ。」

しかしのぉ、と渋るジョセフ殿。むむ、往生際の悪い。ゲロ以下の悪が居ると聞いて私にじっとしていろ、という方があり得ない。

「私は何が何でも、ついて行くぞ! 母様のことは見過ごせないし、承太郎の助けになりたいんだっ!」
「小百合……。」
「何よりっ、悪を倒してこそ正義の味方だあああぁ!」
「……やれやれだぜ、勝手にしな。」

やった! 承太郎の許可が出た!
背後でこそこそとジョセフ殿と占い師の方が承太郎に何か言っているが、男に二言はない、ならば承太郎にも二言はない。したがって私が付いて行くという事実は覆らない!

こうしてエジプトへのDIO退治の旅が始まるのであった。
因みにこの後、承太郎に襲いかかって返り討ちにされたというピンクの髪の青年、花京院典明は小百合の大声で目覚め、やたらカッコ良く同行を申し出るのであった。
彼が彼女を同い年の高校生だと勘違いしたまま旅に同行するのはもう少しだけ先の話。

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