「やべぇやべぇ今何か心臓に刺さった。」
超小声で言ったのにえみさんが「タイプ?」って耳にチューしそうな距離で言うからちょっと顔が熱くなる。
「いたよ。わたし夏輝の幼馴染なの!金髪のキミは?」
「俺?夏輝くんとはダンス仲間で、アパレルやってます。」
どうやらゆき乃さんはこの金髪イケメンが気に入った様で、めちゃくちゃ話しかけている。
無愛想な金髪はそれでもゆき乃さんに興味を持ったのか、ちゃんと答えていて。
「あ!わたしいい事考えちゃった!」
そう言うとゆき乃さんは金髪の腕をギュッと掴んだ。
「…なに?」
「あそこ、行く?男女なら問題なく入れる。この大雨のせいで終電は逃した上にびしょ濡れ。シャワーもあるしベッドもある。どう?」
指さす方向には如何わしいネオン街。
まさかゆき乃さん、金髪とヤル気!?
おい、ノーッて言え!
さすがに見ず知らずのオトコとはできないでしょ!
それこそ澤本くんに怒られるよ、ゆき乃さぁん!!!
慌ててあたしがゆき乃さんの手を掴むと、あろう事か金髪があたしを見て、それから隣のくるくるパーマに視線を移した。
「どーする?慧人…。」
まさかの答えを仲間に委ねた。
助けて!ってえみさんを見るとスマホで話していて。
もしかしてじろさん迎えに来てくれる?
「美月ちゃんは社会勉強してきなね!あ、きたきた、こっち!」
近くで飲んでたのか傘をさした岩田が軒下にやって来たんだ。
えみさん、堂々と浮気しないで!!
叫んだところでこの現実はなんら変わんない。
てゆうか、社会勉強ってなに?
もう涙目でゆき乃さんを見つめるとニッコリ微笑んでくるくるパーマを指さすんだ。
「僕ベッドがいい!夏喜くんは?」
「仕方ねぇな。んじゃお姉さんの誘いに乗ってやるよ!慧人はそっちでいい?」
たぶんだけど今あたし、金髪にそっち扱いされた。このくるくるパーマの相手はあたしでいいか?って確認。
「ゆき乃さんあたし、」
「やった!!お姉さんすっごい可愛い!一目惚れしたのよく分かったね夏喜くん!」
…こんな奴と寝るぐらいなら風邪ひいた方がマシ!そう言おうとしたあたしにそんな言葉が飛んできたんだ。