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【side ゆき乃】


いきなり来てスマートにえみを連れ去った岩ちゃん。といっても行くとこはみんな一緒だけれど。

大雨の中、コートの中にえみを隠してホテルまで歩く岩ちゃんはこの子らに比べたらかなりの大人。


「ゆき乃さん、どーすんの?えみさん行っちゃいましたよ!」


手を振って岩ちゃんの胸元に入るえみは、健二郎くんには内緒のえみの顔で。

それをちょっと可愛いと思えてしまった。

相手がどうであろうと、人は恋をしたら誰もが輝くもんなんじゃないかってわたしは思うわけで。

ナオと別れてから枯れてしまったこの身も心も潤して貰おうじゃない、この爆イケに!


「キミ、名前は?」


美月のコートの裾をチョンと摘んで離さない赤髪パーマの少年に問いかけた。

大きな目を細めて「木村慧人です。」礼儀正しく答えた。


「慧人ね、慧人!この子は美月。わたしの大事な後輩だから傷つけたり困らせたりしたらぶん殴るから!」

「承知しました!」

「よし、可愛い子。じゃあ美月の事よろしくね!」


ぎゃんぎゃん喚く美月を軽くスルーして慧人に預けるとわたしは金髪に腕を絡めた。


「えっとわたしゆき乃。」

「夏喜。堀夏喜。夏に喜ぶで夏喜。」

「夏輝と同じ名前だったんだ?…なんか呼び方困る。皆になんて呼ばれてる?」

「うーん。なっちゃんが多いかなぁ、」

「あは、なっちゃん!そうする。なっちゃん可愛い!」


キュッと腕を抱きしめるとなっちゃんが照れたように目を逸らした。


「女に可愛いって言われたの始めてだし。…ゆき乃さんも、可愛いよ。」

「さん、いらない。ゆき乃でいいよ、なっちゃん。」

「ん。」


早く濡れた身体をあっためて欲しい。







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