びしょ濡れ男女六人がそれぞれ違うラブホに散る。
「あんま金ないよ、俺。」
「え?出すよわたしが。気にしない気にしない、誘ってんのこっちだもん!」
「んー。女に出して貰うのあんま好きじゃねぇけど、今日は甘える。」
何気なく言った言葉なんだと思うけど、今日は甘えるって事は、次は出してくれるのかな?なんて思ってなっちゃんを見上げるとやっぱり顔を逸らされた。
わたしが喜んでるのが伝わったのか、適当に部屋を選んでキーを貰ってエレベーターに乗り込んだ瞬間、フライング気味にキスが落ちた。
んちゅって濡れた髪を指で退けて頬に手を添えての、キス。
だからエレベーターを壁に、なっちゃんの腰に腕をかけて身体を寄せると唇を離して小さく溜息。
「どうしたの?」
チーンとエレベーターが小さな音を立てて開いた。
手を繋いで降りて、カードキーで部屋の中に入った途端、また小さく溜息。
「こら夏喜、答えなさい!」
後ろから抱きついてそう言うと、しょげた顔で振り返る。
「なんていうか、俺のが経験少ないし不利じゃん。人生経験も、恋愛経験も、セックスも。」
なんかちょっとしょげてるっていうか拗ねてる?
「なっちゃんやっぱり可愛い。本気で好きになったらごめんね?」
「なんだよそれ。…なってよ、好きに。」
そーいうのあんまり興味無いのかな?って思ってしまったけれど、なっちゃんは恋愛気質なのかもしれない。
「うん。夏喜もね!」
その後は言葉じゃなかった。