自分がこんなにも女々しいオトコだとは思わなかった。まともに恋愛なんてしてこなかったから、いわゆるこれは俺にとっての初恋なのかもしれない。それだけ毎日ダンスに打ち込んできたわけで。
「ぶっ、樹知らなかったの?」
若干哀れんだ目で北人さんが笑うけど、どーでもよかった。スマホのLINE画面を開いてゆき乃ロスって一言打つとすぐに既読になった。え...。
一分もたたないうちに着信がきて俺の気分は有頂天気味で電話に出た。
「はい。」
【樹、ごめんね、時間なくて。】
「...寂しいっす。」
【素直だねぇ、可愛い。】
「嬉しくない。ゆき乃さんに早く逢いたい。」
【私も、逢いたいよ。】
「直人さんと一緒のくせに?」
...やべ、くだらないヤキモチとか子供か!でも勝てる要素が一つもない相手と一緒にいると思うと、心がザワついてどーしようもないんだ。
「ごめん、嘘。嫌わないで俺のこと。」
【うん、嫌わないし、好きよ。】
「ほんとに?」
【うん。ほんと。】
「じゃあ戻ってきたら一番に俺に逢いに来て?」
【...仕方ないなぁ。】
「それまで頑張るから!」
【いい子にしてたらいっぱい御褒美あげるね。】
「...うん。、」
結局俺はこの人に一生勝てないんだと思う。
だけど、ゆき乃さんがこの約束を守ることはなかった...―――――