一人になりたくない4


「今、直人さんのグランピングの帰りであと30分ぐらいで着くと思うけど。なんかあった?」
【うん、待ってる。】
「えみさん?」
【なんか私達呼ばれて…HIROさんに。もしかして色々バレたのかな?なんて不安になっちゃって。】


色々がいっぱいあるからどの色々なのか分からないけど…。どうやら私も呼ばれてるってことは、そういうことなんだろうか?隣で安心しきった顔でスヤスヤ眠っている直人を見て一抹の不安を覚えた。

東京中目黒に戻ると、私達は会議室へと直行した。呼ばれているのが直人も同じで、やっぱり不安になる。だけど中に入った途端目に入ったのは、各チームのリーダーとマネージャーとえみと私。スッとケンチさんの横に座る直人から離れて、えみと二人入口付近の椅子に座ったら、HIROさんがその口を開いたんだ。


「集まって貰ってすいません。直人も帰り際にごめんね。」
「いや全然っす。」
「じつは…―――」


FANTASTICSのパフォーマー中尾翔太が胃がん告知されて、一時活動休止して治療に専念するという内容だった。全くの予想外の言葉に私も、隣のえみも固まってしまっていて。


「ゆき乃とえみは特にメンバーみんなと仲が良いから、ケアしてあげてほしい…。」
「…分かりました。」
「はい。」


会議が終わってHIROさんが出て行くけど誰もそこを動こうとはしなくて。


「大樹、大丈夫?」


私が肩にポンっと手をつくと、泣きそうな顔で「あ、はい。」そう言うんだ。それからグループ事にマネージャーとリーダーから同じ内容を全メンバーに伝えることになっていて。


「…本人が頑張るって言ってる限り、俺らは信じて見守るしかないと思う。大樹と世界はできる限り翔太の気持ちが落ちないようにと、他のメンバーの気持ちも落ちないように、見てやって。できるか?」


こういう時、直人はとても頼りになる。誰かが言わなきゃいけない事も自然と率先して言葉にできるこの人は生きていくうえで、誰もが尊敬できる人だってこういう時に思い知らされる。涙を拭って「できます!」そう言った大樹と世界に「僕らもサポートします!」真っ赤な鼻を啜る陣。まだ若いのに、みんな必死で生きている。

私も、ちゃんと生きなきゃ…と、思わずにはいられない。





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