気が多いのは昔からで、一人に決めきれないことも多かった。そんな自分が嫌いで嫌いで、一途な友達を見て羨むこともあって。
だけどここ、東京中目黒に構える芸能事務所貝DHで働くようになって出会ったゆき乃さんは、最初は一人だった恋人が、今は4人。勿論周りには絶対の内緒だし、彼氏たちも分かっていない。だけどそんな恋を楽しんでいるゆき乃さんは、女の私が見てもキラキラと輝いて見えた。
間もなく誕生日がやってくる。今年は誰と過ごせるんだろうか?
岩ちゃんのスケジュール表を眺めてボーッとしていた。できるのなら岩ちゃんと過ごしたい。でも今は映画の番宣、舞台挨拶、ドラマの撮影に、忙しいだろうな。秋からはEXILEも稼働するし、そっちのリハもそろそろ入ってくるし、新曲の振り付け、衣装合わせ、MV撮影...ダメだ、私が一番岩ちゃんを独占なんてしちゃいけないんだ。
頭では十分わかっているつもりでも、岩ちゃんを独り占めしたいって独占欲が日に日に増してしまう。もう、どうしたらいいの?
「あ、えみさん!お疲れ様です!新曲のMV見てくれました?直人さんとメンディーさんと自分がプロデュースしたやつ!」
明るく話しかけてきたのはGENERATIONSのリーダー白濱亜嵐。この美顔は結構罪だと思うわけで。
「見たよー。亜嵐が主役の奴ね。新入社員みたいで亜嵐ぽくてよかった!」
「ほんと?やっぱ美人に褒められるとテンション上がるなぁ!この後空いてます?飯行きません?いい店見つけたんです!」
...毎度こうして誘ってくれるのは嬉しい。だけど頭ではすごく喜んでいる反面、岩ちゃんを裏切るなんて私にはできない。別に二人でご飯行くだけなのに、その一歩が踏み出せずにいた。
「行ってくれば?二人で。」
そんな私の背中をポンと押したのは他の誰でもないゆき乃さん。喫煙室から出てきたゆき乃さんは缶珈琲片手にニッコリスマイル。その後ろ、二人目の彼氏、赤い髪の北人くんがピッタリとゆき乃さんにくっついている。