「いいお店だったら私も今度連れてってよ!」
「俺も一緒に?」
「北ちゃんは、メンバーと行って。」
「出たよぉ、Sゆき乃。」
「こら、お姉さんを呼び捨てしない!」
「ゆき乃、ゆき乃、ゆき乃!」
じゃれ合ってるんだろう二人は、その関係を知っている私から見たらイチャついているようにしか見えない。こんな時、直人さんに見つかったらどうするんだろう?なんて思っていたからだろうか、エレベーターが開いて中から珈琲片手に直人さんが入ってきた。
「直人さん、おはようございます!」
「おーゆき乃。みんなお揃いで?」
私たちに視線を向けて何の疑いもなくニッコリ微笑む直人さんに、亜嵐も北人くんもペコっと頭を下げた。
「これから北ちゃんの花粉症が酷いから病院連れていきます!」
ゆき乃さんがそう言うと、北人くんがズズって鼻を啜る。
「ボーカルなのに可哀想にな。ついでにゆき乃も診てもらえよ?毎年酷いんだから。」
ポンって髪を撫でる直人さんに見ているこっちまでキュンとする。ゆき乃さんは「うん。」ってちょっとプライベートな顔で頷くと、北人くんの背中を押してエレベーターに入っていく。顔にモロでる樹くんだったら今頃ブスっ面だろうけど、意外にも飄々とポーカーフェイスを通している北人くんは、直人さんに尊敬の眼差しすら浮かべていた。
「すごいな、」
「え?なに?」
亜嵐が私をキョトンと見るけど、足は直人さんに着いていきたがっているからそっと背中を押すと「飯、考えといて!」そんな言葉がやっぱり嬉しいんだ。