亜嵐のことと同時にオミのことを聞いた時は吃驚した。まさかの登坂広臣を...。オミは岩ちゃんと並んでうちの事務所のエース街道を走っているから人気は勿論、注目度は半端ない。でもいつもどこか寂しそうなのは、そんな孤独を抱えていたからなのかもしれない。明るく振る舞っていても不意に真顔になって天を仰ぐオミに、えみは気づいて2人の気持ちが重なり合うなんて奇跡に近い。岩ちゃんていう彼氏がいるのに、それでも止められない想いがあることを、私もよく分かっている。
「ゆき乃さん、私...、」
「後悔してる、の?」
「うううん。違う。全くしてないなんて言えない。でも気持ちが楽になった。岩ちゃんに対して申し訳ないって気持ちが、いつか消えたらどうしよう?って。」
私にはそーいう気持ち、ほとんどないんだよーなんて言えない。自嘲的に笑うしかできない。直人に対してなのか、北ちゃんなのか、樹なのか、夏喜なのか、みんなに対してなのか、いつから罪悪感が消えちゃったんだろうか。
そもそも普通じゃこんな関係許されないし、できやしない。でもそうでもしなきゃ一人で抱えきれない闇に押し潰されそうになる、そんな夜も大人にはあるんだと。
「大丈夫。えみさんは消えないよ。」
私と違って。そんな言葉はやっぱり飲み込んだ。
飲み始めて2時間とたたないうちに、オミから連絡が来たえみはそっちに行ってしまった。今夜も私は一人でいられなさそうで…。こういう時に直人に素直に「寂しい」って言えてるなら、北ちゃんや樹や夏喜に迷惑もかけないんだろうって思う。来週になったらランペは全国ツアーで地方に飛んでしまう。今週中に個別で会っておきたい…。