泣きたい夜6


結局のところ、北ちゃんに逢えない寂しさを夏喜で埋めてしまったのだと。

だってここは...「来ると思ったんだー!この部屋、手回ししたのゆき乃でしょう?」嬉しそうな顔の北ちゃんがベッドの横、私の隣にちょこんと座った。やっぱりやっぱりどうしても北ちゃんに逢いたくて一人で京都まで追いかける私を、マイコは樹目当てだと思ったに違いない。仕事を理由にすればいくらでも会いに行けたけど、それだと樹に捕まってしまうから。

隣に座った北ちゃんにコツと寄りかかるとクスって鼻で笑う。


「そんなに俺が恋しかった?」


ギュッと肩に回る手に無言で頷く。ポンポンってこの前の夏喜みたいに優しく頭を撫でてくれる北ちゃんが無言で私を押し倒した。


「ライブの後ってすげぇアドレナリン放出してるんだって、知ってる?」
「うん。」
「理性飛んでるかもよ俺。」
「うん。」
「ゆき乃、」
「.........、」
「愛してる...よ。」


久々に聞いた北ちゃんの愛してるは、私のモヤモヤを簡単に取り外してくれた。耳元で何度も何度も愛を甘く囁いてくれる北ちゃん。


「北ちゃんも、泣きそうな顔、」
「俺はこーいう顔なの。男だもん泣かないよ。」
「見かけに寄らず、強いね。」
「そりゃ好きな人が離れないようにね。」
「好きな人?」


分かりきった答えを時に聞きたくなる生き物なんじゃないだろうか、女なんて。

胸元に顔を埋めていた北ちゃんがゆっくり顔をあげたら、ほんのり揺れる瞳でニッコリ微笑んだんだ。


「俺のモノって印、つけちゃった。樹に見せんなよ!」
「見せないよ。北ちゃんキスして、」
「言われなくてもするよ、」


Mっ気あるのかなぁー?なんて思うけどやっぱり北ちゃんはSだと思う。こんな風に息ができないぐらい苦しいキスをする人なんて、北ちゃんだけだ。普段が温厚な分、こーいう北ちゃんの感情的なセッ クスは、たまんない。


「今日はバックはやだ。」
「顔見れないから?」
「うん。」
「甘えん坊めー!」


嬉しそうな北ちゃんの笑顔に私も自然と笑顔になれる。想いを言葉にする樹をズルいって言った北





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