「ゆき乃さん。愛してる。」
満足気に微笑む樹は、ゆっくりと私の中から出ていって装着したゴムを外した。
それ、つけなかったら樹は私のこと抱かないよね?
また変な不安にかられる。こんな気持ち捨ててしまいたいのに、この世界で付き合うって事自体きっと私には合わない。それなのに惹かれる人はみんなここの人で。自分を馬鹿だと思いながらも止められずにいるなんて。
「ね。いつから気づいてたの?」
情事後、ベッドの上でまどろみながら樹の分厚い胸板に後ろからギュッと抱きしめられている。
「たまたま光がゆき乃さんに当たって顔が見えて。一瞬台詞が飛んだ。やべって思って慌てて意識戻したら噛んだ。責任とってよね?」
…え、またするの?お姉さんもう無理なんだけど。さすがに直人も二度は抱かないよ、もう。…なんてことは当たり前に言えないけれど。
迷いも躊躇いもなく私を組み伏せる樹の顔は高揚している。
ちゅ、って小さなキスを私に落としながら、まだシーツの中の裸体に手を這わす。
「ン、樹…、もう、」
「俺足りないけん。ゆき乃が足りないけん。」
そんな切なそうな顔で、そんなに甘えた声で生まれ故郷の言葉を言う樹をズルいと思いながらも、一度指で触れられると身体が熱くなって想いが高鳴る。
「ここんとこずっとゆき乃の温もりがなくて寂しかったよ。ライブは勿論すげぇ楽しいけど、そこにゆき乃がいるのといないのとじゃモチベーションも違う。」
普段そんなに喋る子じゃないのに、今日はよく喋るのね。
樹の頬にそっと手を添えるとそこにちゅ、ってキスを落とす。
「一生傍にいてよ、俺の。他の誰でもない…藤原樹の傍にいてよ、ゆき乃さん。」
心臓がチクって痛い。今、樹にこんな台詞を言わせてしまったからなのか、胸が痛くて涙が溢れそうになる。
「俺、本気だよ。きっとこの先もどんな人に出逢ってもゆき乃さん以上に想える人なんておらん。それぐらいマジで好きやけん。」
だから、同じぐらい好きになって欲しい…
そんな風に続いた樹の言葉に、やっぱり涙が溢れた。
―――私はその言葉を一体誰に貰いたいの?