一生一番6


vocalの加入後、闘病中の翔太を待ちつつ新たなる可能性を求めて全国夢者修行を開催することになったFANTASTICS。

夏喜は特に気合が入ってて毎夜練習に明け暮れていた。

RAMPAGEがツアーで地方に行ってるからか、私の周りはわりと静かで、忙しい直人に変わってその隙間を埋めてくれている夏喜。

ここんとこ毎日怪しまれないようにメンバーとご飯を食べ終えてからうちにやってくる。


「ゆき乃さんいつ見に来るの?」
「え?夢者?」
「そう。見にこないの?」
「…うーん、行った方がいい?」
「そりゃあ。」
「じゃあこっそり見に行くからちゃんと見つけてくれる?」
「もちろん!」


ニッコリ微笑むと唐揚げを頬張る。


「なっちゃん夜ご飯食べたんだよね?」
「でもゆき乃さんの料理はいくらでも食える。」
「いいなー。こんな時間なのに。私なんて胸焼けするよー、」
「はは、可愛い。」


…可愛いって言っといて思いっきり照れて顔を逸らす夏喜の方が可愛いんだけどなぁ。大きな夏喜の太股の上に座るとすぐに視線が飛んでくる。

キュッて私を横抱きする腕に力が込められて、反対の手で引き寄せられる。迷うことなく唇をちゅって重ねて耳元で小さく言うんだ。


「胃薬あげるから、俺のこと食べてよ。」


こんな冗談まがいな事を言えるようになったのも、夢者のMCのおかげ?クスッと笑うと「夏喜は胸焼けしないよ。」そう言って舌を絡ませる。直人も北ちゃんも樹も、ちゃんとキスで目を閉じるけど、夏喜はわりと開けたままキスをする事が多くて、目が合うと舌をちゅるりと吸われる。

そのまま耳に舌を入れこまれて鼻から息が漏れる。


「気持ち…」


キュッと夏喜に抱きつくと私を抱き上げて自分の上にらっこ座りに座らせた。正面から抱きついて何度も繰り返すキスに、一時の幸せを感じずにはいられないんだ。



そんな風に愛し合っても、翌日エレベーターで逢えば、一スタッフと、一タレント以外の何でもなくて。

混み合うエレベーターの中でこっそり後ろから夏喜の手を握るも無反応。

だけど、人がはけて降りる瞬間、その訳が分かったんだ。


―――――真っ赤な顔して私を振り返る勇征。

うそ私、間違えて握った!?


「…あの、」


やば。間違えとか言えないよね。


「ん?」
「あの今、僕の手、」
「…うん。またね!」


去りゆく後ろ姿を夏喜の横、やっぱり真っ赤な顔で見つめる勇征がいたなんて。



NEXT...





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