事務所に戻るとEXILEがライブの打ち合わせをしていた。
「ゆき乃さん、翔太どうでした?」
FANTASTICSのリーダーでもある大樹が私の顔を見るなりそう声をかけてきた。何をどう伝えたらいいのか分かんなくて。
「…うん、あの、」
やっばりどうにも言葉が出てこなくて黙り込む私に気づいた直人がポンっと肩を叩いた。
「直人さ、ん。」
「ちゃんと話せ、ゆき乃。俺もいるから。大樹も世界もちゃんと受け止められるって俺が保証する。」
そう、だよね。ちゃんと言わなきゃいけない人達だよね、ここにいるのは。そうそう何度も会いに行けないメンバーの代わりに私が行っているのだから。
「戻りたいって、病気になってなかった頃の自分に。そう言って泣いてた。それから、帰り際に発作が起きて…次もしも大きな発作が起きたらもう―――主治医の先生がお母さんにそう話されてて。」
どんなに頑張ってもどんなに努力してもどんなに願っても…―――叶わない事もある。
それでも前を見て進むしかできない場所に立っているこのメンバー達を、私は全力で支える義務があるのだ。
それは翔太のためでも。
俯く大樹が「あいつ、何弱気になってんだ。ゆき乃さんが女だからって。ちょっと叱ってやります!」笑顔を振りまく大樹の拳はグッと握られていて。それだけ言うとこの会議室から出て行った。
「いつもありがとうございます。」
世界が私にそう頭を下げて大樹の後を追いかける。完全に姿が見えなくなった所で、気が抜けた私はヘナヘナと床にしゃがみ込んだ。
「ゆき乃、悪かったな。」
「うううん、直人さん。 願いは叶うよね?きっと、翔太の、みんなの願いは、それでもちゃんと叶うよね?」
「叶うよ。」
グッと強く肩を抱く直人の温もりに涙を堪えて小さく頷いた。
―――だけど、そんな願いも虚しく、翔太は言葉を発することも苦痛になっていて、辛うじてLINEでする会話もポツポツと、少なくなっていくんだ。