FANTASTICS夢者修行Final。開演直前、テレビ電話をかけた先、顔色の悪い翔太が映った。ベッドから真っ直ぐに電話を見つめている翔太は、それでも微かに笑みを浮かべている。話す言葉なんてないけれど、そこにある翔太の想いはしっかりとみんなに伝わっていて。
「これからファイナルやってくるから、見ててよな!翔太の分も一緒にパフォーマンスしてくるから!待ってて!」
大樹の言葉に小さく頷く翔太に、みんなが手を振る。そのままバリボみんなも一緒に気合い入れをして、音楽が鳴り響く会場に姿を消した。
そうして大成功をおさめた、夢者修行。まるでそれを待っていたかのよう、最後まで見届けるかのよう、それから数日たった、7月6日の午前7時23分。長く短い翔太の闘病生活が終わり、22歳という早すぎる若さで、この世から天国へと旅だった。
その知らせが入ったのは朝早くだった。
HIROさんからのLINEで私とえみに翔太の死が知らされた。今日は生放送の音楽番組にEXILEが出演を予定している。明日はFANTASTICSもRAMPAGEもフェスでステージに立つこととなっている。
慌ただしくLDHに入っていく私の後ろ、ちょうどエレベーターでえみが乗ってきた。
「ゆき乃さん。」
「えみさん…、」
それ以上何も言えなくて。何かを言葉にしようとすると、涙が先に溢れてしまいそうになって、私は喉の奥をグッと噛み締めてそのまま無言でHIROさん達の方へと急いだ。
「マスコミへの発表はとりあえずまだしない。まずはFANTASTICSメンバーと、事務所の仲間達に僕から伝えます。」
休み希望を出しているスタッフ以外全員がこの日朝早くLDHに集合した。
最初に会議室に入ってきたのはもちろんFANTASTICS8人。私やえみがいることと、何よりここにHIROさんがいる事で、みんなの表情も硬い。なんともいえない空気が漂っている。
夏喜と目を合わせる事もできなくて、視線を逸らした私に、HIROさんの口から翔太の事が静かに伝えられた。