ヒマワリ5


バラバラなリハーサルを何度となく繰り返すリーダー不在のFANTASTICS。

なんとか夏輝と黎弥が立て直そうとするけど、どうしても夏喜がついてこれなくて。きっと本人も一心不乱に頑張っている。

だけど心が折れてしまっている夏喜にそこまで動く事すら困難で。


「しばらく休憩にします。」


私が言うと、みんなが床にペタンとしゃがみ込んだ。


「なっちゃん、大丈夫?」


シーンとしたリハーサル室。声をかけたのは勇征だった。勇征を見ることすらしない夏喜。タオルを頭から被ってただジッとしている。


「勇征、」


私が呼ぶとこちらを振り返る勇征。小さく首を左右に振る私に対して、スッと手の平をこちらに向けた。


入ってくるな。…そんな顔で。


「なっちゃん。大丈夫?」


それからもう一度、今度は夏喜の腕を掴んでそう言う。掴まれた夏喜はちょっと強引にその手を振り払った。それでも勇征は引き下がることなく今度は夏喜の頭にかかっているタオルを剥がした。


「なんだよ、」
「みんな心配してる。明日やれんのか?って聞いてる。」
「…やるよ、ちゃんと。」
「ならリハもしっかりやれよ、」


ピリッとした空気がこの空間に漂った。リーダー不在の為、なんとなく誰も止めに入らなくて。だけど黎弥が立ち上がろうとしたのをまた勇征の手が止めた。


「ダンスなんて踊れなかった僕に何度となく練習に付き合ってくれた翔太くん。練習は絶対だからって。その言葉信じて必死で練習してきた。明日会場に来るお客さんは誰も翔太くんの死を知らない。顔に出すな、プロ意識見せろよ、」
「お前に言われたくねぇよ。」
「僕は、覚悟はしていたつもりだった。でも実際HIROさんからその事実を聞いても何の覚悟もわかなくて、頭ん中が真っ白になって、今もよく分かっていない。だから助けてよ。なっちゃんの苦しい気持ちは俺達全員でフォローする。他のみんなのも。翔太くんだって明日の舞台に立ちたかったはず。僕達9人で頑張るしかない。」


きっと、相当気を張っていたんだろう。真っ赤な目で大きな瞳からポロポロと涙を零す颯太。


「翔太くんの為にも、ちゃんと歌いたいです、僕も。」


夏喜の手をそっと握る颯太に、夏喜の顔が崩れて涙が零れ落ちる。


「助けて、」


一言夏喜が呟いた。





- 48 -





←TOP