ヒマワリ6


「バカヤロ助けるよ、助けるに決まってんだろ!俺らメンバーだぞ。9人でFANTASTICSだぞ!」


俯く夏喜に黎弥が抱きつく。そこに他のみんなも集まってきてギューって抱きしめ合う。みんながみんな、我慢することなく感情のままに、ただわんわん泣いたんだ。

メンバー以外入っていけない絆をひししと感じたから、そっとリハーサル室から出て給湯室のソファーに座っていた。






「ゆき乃さん。」


しばらくすると、勇征が1人私の前に立っていてニッコリと私に微笑んだ。


「さっきはすいませんでした。」


ペコっと頭を下げた。


「え?勇征?」
「さっき、ゆき乃さんもなっちゃんの事心配してフォローしてくれようとしてたのに、自分の都合で止めてほんとすいませんでした。」


もう一度深く頭を下げた。わざわざ言いにくるとか勇征らしいというかなんていうか。


「うううん。勇征の言葉だから夏喜もちゃんと聞けたんだと思う。強い人ね、勇征は。」
「…そんなこと。ただ一つだけ思うんです。僕は正直なところ、なっちゃんみたいに小さい頃から翔太くんを見てきたわけではないですけど、それでもオーディションで合格して、同じメンバーとして一生一緒に頑張っていこうって決めて今日まできました。そんな僕でもすごく悲しくて悔しくて、辛いです…。どうして?ってやり切れないですし、プロ意識なんてもっての外、ちゃんと歌えるのか不安で怖いです…。でも僕が翔太くんだったら…自分の死をああやって苦しんでくれる人がいるってことは…嬉しいのかなって。自分って存在がそれだけ人に対して影響できていた…なら、それはやっぱり嬉しいことなんじゃないかって。だからなっちゃんは間違ってないって思います。」


…そんな風に思っていたんだって。とうていそんな事を思えていなかった私に、勇征は優しく微笑んでいる。気づくと頬を涙がつたっていて。強がることはないって。翔太の死を無理に受け止めなくてもいいって…そう言われているような気がしたんだ。


「勇征…。」


無言で私の腕を引き寄せた勇征は、そのままふわりと私を抱きしめた。


「年上だからって強くあることないです。…――俺が守ります。」


ぎゅうって強く抱きしめる勇征も、胸の音がバクバクだったなんて。




その夜、漸くこのFANTASTICSの寮に翔太が戻ってきた。





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