「ゆき乃〜!」
「美月〜!」
「ハルちゃーん?」
聞こえた声に3人とも、目を合わせて笑う。
ハルの腕時計を見るとここに来て3分程過ぎていた。
「ついつい見とれちゃった!旦那達が呼んでるから戻らないと!」
ルンルンでゆき乃が振り返るとほんの一瞬緑色の光が見えた、気がした。
パチクリと瞬きをするゆき乃に「とりあえず記念に写真撮ろ!」聞こえた美月の声に小首を傾げてそちらに寄っていく。
美月のスマホカメラで3人顔を寄せて「ハイチーズ!」カシャンと1枚写真を撮った瞬間、今度は真っ白な光にここら一体が包まれて。眩しくて目を閉じる3人は無意識でお互いの手を握りあっていた。
「な、なんだったの、今の。」
数秒後に聞こえたハルの声にゆき乃も美月も目を開ける。
変わらず頭上を埋める藤の花…けれど、
「ねぇ待って。…ここ、どこ?」
見渡す限り藤の花が続くそこは、数秒前までいた神社とは掛け離れていて…
確かにここは神社っぽい作りだった。けれど違う、何もかも。
震えるハルの声にゆき乃も美月もお互いの手を痛い程強く握りしめた。
「有り得ないんだけど。」
美月の言葉にゴクリと唾を飲み込む。
「勇征!!!颯ちゃん!!!サワくん!!!」
ゆき乃がその場を歩きながら叫ぶけれど、返事は誰一人として返ってこない。
辺り一面藤の花が咲いていて、遠くの方にお屋敷らしき物が見えている。今まであった神社ではない、別のお屋敷。
悪い夢なのだろうか…。ハルが自分の頬を指で抓ってみても何も変わらない。
「これって、タイムスリップ?」
小さく出したハルの声は震えていて。ゆき乃が「そんなの存在するわけない!!」そう叫ぶ声もまた、震えている。
一つ息を吐き出した美月が小さくでも、ハッキリと言った。
「ハルの言う事が正しければ、辻褄が合う…。」
トクンと大きく心臓がうごめく。見たことのない景色に戸惑いを隠せないでいた。