薄いグリーンの肩出しニットとこげ茶に白い花を散りばめたロングスカート。
勇征の部屋にはこうした女物の服が何種類かある。
これは私専用で。
それを着た私達は居酒屋に入る。
チェーン店のそこは安くて美味しくて学生の私たちにはもってこいで、なっちゃんや翔ちゃん、美月や颯ちゃんともよくよく来ることも多いってこと、ほんの一瞬忘れていたんだ。
「トイレ行ってくるね。」
手を振る勇征を背にテーブル席を抜けて奥のトイレに行く途中だった。
「ゆき乃?」
通り過ぎたテーブルからそんな呼びかけ。
振り返るとそこには翔ちゃんと、ちょっと驚いた顔のなっちゃん。
「あ…翔ちゃん。」
「美月ちゃんと?」
やんわりそう聞く翔ちゃんに苦笑い。翔ちゃん一人ならよかったけど、手前でなっちゃんが思いっきりこっちを見てる。
「誰と?男?」
それからそう聞かれて仕方なくコクンと頷く。
次の瞬間、盛大にため息をつかれる。
「お前なんなの?」
あきらかに怒ってるのが分かる。だから翔ちゃんが「まぁまぁ、」って宥めた。
そんなに怒ることないのに。
そもそもの原因はなっちゃんなのに。
「じゃ、行くね。」
もう逃げてやろ!って早足でトイレに向かうと、なっちゃんが今更ながら追いかけてきて手首をグッと掴んだんだ。