【side ゆき乃】
「あー怖い。」
「大丈夫だよ、俺うまいから。」
「…痛くしないでよ?」
「大丈夫、痛いの一瞬だから。ほらこっち来て、」
「…うん。」
「おいお前らなんの会話だよ!!!」
なっちゃんと2人開けられたドアを見ると、サークルの先輩である黎弥くんが真っ赤な顔で息を荒くして仁王立ちしている。
「なにって、ピアス開けるんだけど?」
ピアッサー片手に眉毛を下げたなっちゃんが、黎弥くんをジロっと睨んだ。
「あ、あ、なるほどね!なんだそっかー!てかお前ら今の会話すげー紛らわしいっつーの!!俺はてっきりお前らがいかがわしいこと、」
「するわけないでしょ、こんな汚いとこで。」
ピシャリと言い放つなっちゃんにくすっと微笑んだ。
なっちゃんの部屋には沢山のアクセサリーがあって、中でもピアスは物凄く色んな種類のがある。
それをどうしてもつけたくて、今まで開けずにいた耳に穴を開けることにしたんだ。
それでサークル前の時間に2人で部室で開けようってなって、今に至る。
「黎弥くん腕貸して?」
「え?腕?」
「そう。ゆき乃怖かったらこの人の腕握ってなよ?」
ハイハイって黎弥くんが私の前に腕を差し出してくれて。
それを握るとちょっとだけ安心できた。
氷でずっと冷やしていたからもう感覚もなくて。
なっちゃんがピアッサーを握って私の耳で構えた。
「んじゃいくよ?」
「うん。」
目を閉じて黎弥くんの腕を強く握った瞬間、バチンって音が身体中に響いたんだ。