悔しくて悲しくて涙が零れ落ちる。
翔ちゃんに言われたから…そうじゃなくて、ただ単純になっちゃんがデートしたいから…そんな言葉すら許されないんだろうか?
言葉にするのが苦手なことは重々分かってるけど、それでもやっぱりなっちゃんの言葉で私への気持ちを聞きたいって思うのはただの我儘なの?
ポケットにあったスマホを取り出してLINEを開く。
一人で埋められない寂しさはどうしたらいい?
【どーした?】
聞こえた声にまた涙が溢れる。
振り返っても当たり前になっちゃんが追いかけてなんていない。
「勇征…今どこ?」
震える私の声にスマホ越しに勇征が小さく溜息をつくのが分かった。
またか、って思われてるんだって。
【またなっちゃんと喧嘩したの?】
だからそんな勇征の言葉はやっぱりで。
「もうダメかも。」
小さく呟いた私に、【いいよ、家にいるからおいで。】救いの言葉が届いた――――――
慧ちゃんと同じ月の勲章をもらっている八木勇征。
だから私が独り占めできるような人じゃない。
だけどいつだって優しく受け止めてくれるのは、この人だけで。
こんな私をギュッて抱きしめてくれるのも、この人だけ…
勇征の部屋の前で呼び鈴を鳴らすとすぐにドアが開く。
「ひでぇ顔だな。」
ポスッと頭に手を乗せた勇征は、そのまま私の肩に手を置いてぎゅうって分厚い胸板に包み込んでくれる。
美月…私もこの温もりがないと生きていけないよ。