「なんだあれ。いいのー?ゆき乃。」
北人に顔を覗き込まれて苦笑い。
いいも悪いも、私には関係ない、はずなのに…。
「言いわけない。腹立つ。」
「素直でいい子。」
ヨッシーが嬉しそうに髪をわしゃわしゃするから恥ずかしくてそれを軽く払う。
だって我慢すると怒るじゃん2人とも。いつだって強がってしまうのは昔からで。心の中の気持ちを人に言うなんて選択肢、今までなかったのに。
この2人はそれを許してくれない。同期だからって
でもだから、この2人にはいつも本音を言える関係だった。
「のった!俺に任せて。」
北人が喉仏を動かしてゴクリと唾を飲み込むと、カツンと踵の尖った靴で一歩踏み出した。
「勇征?」
北人の声にこちらを向く八木。
「北人さん!嘉さん、…ゆき乃さん!!!!」
私を見て目を大きく見開いた八木は苦笑いで気まずそうな顔。
「勇征ちょうどよかった。関西の山下さんから頼まれてる事あるから手伝えよ。」
北人の言葉に八木は隣の女からスッと離れると「ごめんね?仕事入っちゃって。また埋め合わせするから!」顔の前で手のひらを合わせて謝る八木に、女が心底不満顔を見せた。
「探してたんだよ、勇征。着信入ってるだろ? 」
ヨッシーがそう言うと、一瞬天を仰いだ八木が「はい。すいませんでした。」謝った。
たぶん電話なんてしてないだろうけど、ここですんなりこっちに来るってことは八木はその女の事別に好きでもなんでもないってこと、か。
なんだ、そっか。