どーしよ、全然記憶がない。だから怖い。酔ってタグの外れた自分が八木に何をしたのか?
「なんで何も教えてくれないの?」
「言ってもいいの?ゆき乃さんって酒飲むと…」
笑顔でそう言うから慌てて八木の口を手で塞いだ。
「いい、やっぱいい、無理!」
アヒル口をそのまま私の手のひらに押し当てるから慌てて離す。
「なによっ!」
「今のは俺じゃなくてゆき乃さんが悪いと思う。」
ムゥってやっぱりなアヒル口をする八木が、悔しいけど可愛くてドキドキする。
あの日以来、八木は会社でも私に話しかけてくるようになった。今まで仕事の内容しか話さなかったせいか前よりも会社に行くのが楽しくなっていたんだ。
そして、八木と仲良くするってことは同時に反感も買うんだって…
「またあの女と一緒にいる、ゆせくん。」
聞こえるか聞こえないかのヒソヒソ声。八木ファンの女たちからの痛々しい視線。
だからそれが誰だか分からないけど後々私への嫌がらせだってすぐに気づくことになるなんて…。
「ゆき乃まずいぞ、」
午後一でかかってきた電話にヨッシーが結構変えている。
「どしたの?」
保留にしてすぐに私の所に駆け寄った。
「山下さんとこで使うイベントのお土産が100足りないって、」
「えっ!?ウソ!」
「とにかく今からなんとか100かき集めて持ってく。俺も手伝うから!北人も手伝って、それから、」
八木も…そう言う前に自分から「手伝います!」って立ち上がってくれた。
確かに山下さんからの電話を受けたのは私でメモだってちゃんと残ってる。
ヨッシーが何か言いたげな顔をしていたけど、それ以前に時間がないから上着を着て外に出た。
「後で言うけど、ゆき乃のせいじゃないよ!」
優男ヨッシーにポンと背中を押されて私達は各自別れてデパートへお土産を買いに行った。