そんな事があったからというもの、関わる前に日高くんを避け続けた翌日、まんまとネコに捕まった。
なんだろうか、この中学の先輩からの呼び出しみたいな感じ。
昼休みに一人飯を堪能していたら、どこで見られていたのか、目の前には未来ネコカップル。いや、コンビ!?
私を思いっきり残念そうに睨みつけていて。
「食べずらーい。」
「しぇんぱい、何してんの?」
ネコの低い声に苦笑い。未来は無言でパスタを頬張っている。
「ネコ、可愛い顔が化け猫みたいになってるよ。」
「ぷっ。」
私の言葉にネコの隣、未来が笑うもネコはムゥって頬を膨らませるだけで。
「日高っちのこと避けてるでしょ?」
核心を突かれて苦笑い。目を逸らして聞こえなりフリ…は無理そうで。
「そんなことない、」
それでも小さな強がりを口にすると盛大な溜め息をつかれた。
「なんでそんなに怖がるの?せっかくのチャンスなのに勿体ない。」
責めてるとかそんなんじゃなくて、ネコが本当に私を思っていってくれてるって重々分かっている。
いつだって私に懐いて楽しませてくれるネコだから、心配してくれてるって分かる。
でも、いけない。
あと5年したらネコにも分かるよ…
そう言いたいけど言っても今はきっと伝わらない。
恋を忘れたババアの行き着く先なんて目に見えている。
これ以上惨めになりたくないんだよ私は。
「若くて可愛いネコと私は違うから。」
嫌な女だってつくづく思う。ネコが私をそんな風に思うわけないし、いつだって笑顔で話しかけてくれているっていうのに、目の前で悲しそうな顔をするネコに何の言い訳もできなくて。
「ほら。」
ケチャップたっぷりつけたポテトを口に運ぶ未来に、パクっとそれを食べたネコはやっぱり悲しそう。
「ご飯不味くなっちゃうから行くね。」
立ち上がった私に「しぇんぱいは可愛いよ!日高っちの事ちゃんと見てあげなよ!似合ってるって思ったのに、2人!しぇんぱいみたいな強がり女には日高っちみたいな男があってる!って。」どさくさに紛れて強がり女扱いされたけれど、間違っちゃいないわけで。
「まぁでも、そのわだかまり取れなきゃ、竜太さんもそこまでの男なんじゃない?」
未来の言葉に苦笑いしたままお店を後にした。