あれから毎日日高くんは誰より早く来て、誰より遅く帰る日を送っていた。
珈琲だけで過ごしているのか、3日も経つと頬が痩けて見えて。
「日高くん!」
「え?あぁ、ゆき乃さん!」
振り返った顔はやっぱり疲れていて。
「休憩しなよ、そろそろ。」
「あーじゃあ珈琲買ってきます。ゆき乃さんは紅茶でいいですか?」
立ち上がった日高くんはポケットから財布を取り出すからそれを手を重ねて止める。
ドクンと一つ胸が脈打った。
「ゆき乃さん?」
「食べて、これ。…一緒に食べて。」
「え?」
ドサッとおにぎりとサンドイッチとサラダと唐揚げ。
デザートに大福。
あったかいスープもつけて。
「何が好きか知らないから、全部買ってきた。」
「え、ゆき乃さん!?」
「そんな痩けた顔で勝ってもらっても嬉しくない。日高くんにはいつもみたいに元気でいて欲しいの。」
分かってる。
相手が手強いってことも。
だからこれだけ必死に頑張っているんだって。
それだけやっても無理かもしれないし。
でも…――――ふわりと日高くんの腕を取ってそこに顔をつける。
「ゆき乃さん…」
「心配させすぎよ、」
「うん…ごめん。」
ギュッと日高くんの腕が私を抱きしめて。
会社で何やってんだ?って思うけれど、このフロアに残ってる人なんてもういない。
「あー染みるー。何よりゆき乃さんの温もりが俺には一番効きます。」
いつの間にか、日高くんを目で追っていたのは私の方。
この人が、好きなんだって、思う。