「いらっしゃい!」
行きつけのラーメン屋の暖簾をくぐると、いつものメンバーがそこにいて苦笑い。
「おー翔太!夏喜!!こっちこっち!」
翔太くんとゆき乃と同じ三年の先輩二人。
「またあんたらか。」
思わず出た声に黎弥くんが「おい夏喜、なんてこと言うんだ!」って大声をあげる。その横で夏輝くんはニッコリ微笑むだけ。
黎弥くんは俺と同じでダンス部とサッカー部を掛け持ちしている。翔太くんと夏輝くんはダンス部オンリー。
「まぁいいじゃん!今日は俺の奢りなんだから食えよな!」
翔太くんの言葉に「え、翔太の奢り!?」当たり前に食いつく黎弥くんに俺も笑った。
「黎弥は自分で払えよな。夏喜は傷心だから特別!」
意味深な翔太くんの言葉に夏輝くんが「ゆき乃?」…――――「え?なんで、」まさかのバレてそうで。逆に黎弥くんはキョトンとしている。
「勇征と映画観に行くって教室出て行ったから。」
そういや夏輝くんも黎弥くんも翔太くんも、ゆき乃と同じクラスだ。翔太くんに続いて夏輝くんにも隠せそうにない。
「サワ、」
「いいよ、翔太くん。ちょっと調子にのったから痛い目見ただけ。」
水をゴクリと飲み込むと、4人分のラーメンが運ばれてきた。
「夏喜、ゆき乃が好きだったの?」
今更ながら黎弥くんの問いかけに思わずラーメンを吹き出しそうになった。
「勇征と付き合ってるのは知ってるし、勇征から奪おうなんて思ってないけど、どーしようもないみたい。」
ほんと馬鹿。わざわざダチの女に惚れるなんて馬鹿馬鹿しい。頭では分かっていても、どーにもできないこの気持ち。勇征から奪おうなんて思ってるわけじゃないのに、ゆき乃と接するとどーしようもなく独占したくなるなんて。