トクン…と、胸が脈打っていて、なんなら心臓口から飛び出そう。
「ゆき乃先輩…、」
そっとゆき乃の頬に手を添えてゆっくりと顔を寄せる俺に、不意にゆき乃の腕が首に回された。
えっ!?
そう思った次の瞬間にはもう、俺はゆき乃の下で立場逆転。俺に馬乗りするゆき乃に強烈な色気を感じて勃ちそう…
「ゆき乃、」
「好きなの?私の事。」
ゆき乃が俺の頬を撫でてそう聞く。心地好くてそのままチュって手にキスをすると、小さく睨まれまた。
「好きだよ、勇征よりもずっと。」
「それはないよ。勇征のが私の事愛してくれてる。」
勇征、勇征、言うゆき乃に腹が立ってそのままグイッて背中に腕をかけて引き寄せた。超無理やりゆき乃の唇に噛み付くみたいにキスをすると、すぐに嫌がって俺から離れようとする。だから余計に離したくなくてゆき乃を力でホールドしてそのままキスを続けた…――――――
「最低っ、なっちゃんのバカっ!!!」
そんな罵声と共に一瞬の隙を着いて俺の腕からすり抜けたゆき乃は、青白い顔のまま、保健室から走って逃げるように出て行った。
残された馬鹿な俺。マジで馬鹿。
自分の感情もコントロールできないくらい、ゆき乃が欲しくてたまらなかった…なんて、言い訳にしかならない。
当たり前に戻る気にもなれず、きっと早退したんだろうゆき乃を追うように俺も無言で学校から出て来た。
勇征には言えないけど、ゆき乃を想うのはやめなきゃって。バス停で一人、ゆき乃を想って泣く俺を、まさかゆき乃が見ていたなんて、この時は何も知らない…。