それから二週間、俺はゆき乃との接触を避けた。サッカー部に顔を出さなきゃ校舎内で会うこともなく。こーいう時学年が違ってよかったと思わずにはいられない。
「なっちゃん、サッカー部来ないの?」
放課後、ダンス部の練習が終わった俺を待っていた勇征。サッカー部の勇征とマネージャーのゆき乃。学年が違う俺達の唯一の接点がこのサッカー部で、勇征とゆき乃がカップルになったのも、サッカー部だったから。
「俺今週の大会出ようと思ってて。まぁみんな出るんだけど。だから今はこっちに打ち込みたいって思ってる。」
勿論嘘じゃなかった。まぁちょうどよかったって俺は思ってるけど。ゆき乃と気まずいまま顔を合わせるのはどうなの?って。どんな顔してゆき乃を見ればいいのか分かんなくて。
「そっかー。ゆき乃も寂しがってるからさ。たまには教室にも顔だしてよ、ね?」
…ゆき乃も寂しがってる?嘘だろ。俺の事最低ってあんな困った顔させたのに、
「…ん。」
なんて答えりゃいいのか分かんなくて呆然と軽返事をする俺に気づくことなく勇征は帰って行った。
それでもゆき乃に会うことなく大会を迎えたその日、朝から体調絶不調で、インフルエンザじゃねぇの?ってくらいフラフラで頭もガンガンで。だから顔を見た瞬間翔太くんが「夏喜は棄権しろ。」って。
「ダメなんだよ。これ出なきゃ俺、ゆき乃に会えない…。」
熱のせいで潤む瞳で見つめた先の翔太くんは困ったように眉毛を下げて俺の背中を軽く叩いた。
「分かったよ。けど、無理だけはすんなよ?」
「…聞かないでくれてありがとう。」
俺がおかしい事ぐらいとっくに分かっていたんだろうけど、それでも翔太くんは俺が言いたくなるまで待っててくれる優しい人。やっぱりいつまでも俺の憧れだ。
「一つだけ。毎日心配してたぞゆき乃。なっちゃん元気?って。」
「え?」
「何があったのか、何もないのか知らんけど、ゆき乃は夏喜のことちゃんと見てると思う。まぁそれでも勇征の彼女だけど。」
翔太くんの言葉にマジで泣きそうになった。
「分かってる。ありがとう。ちゃんとするから。」
俺の言葉にポンポンって翔太くんの喝。