みんな吃驚してるのが空気で分かる。
だって名前なんて教えてないし、
「え、と、八木くん?」
「あ、ごめんなさい。合ってますよね?ゆき乃さんで。皆さんそう呼んでるんで。」
「うん、ゆき乃。一ノ瀬ゆき乃です。」
「よかった!話してみたかったんです、実は!だからすげーチャンスだと思って!」
…なによ、それ。
心臓痛いし。
えみも美月も超絶ニヤついてるし。
でも―――――
「わたし、も。八木くんと、うん。」
い、言えない、話したかったとか、言えないし!!
辛うじて頷くと目を細めて微笑んでくれる。
その笑顔にまたキュンとして、結局心臓が痛いんだ。
「あー!勇征くんがナンパしとる!」
キュンとしたすぐ後、中島くんがコーラをがぶ飲みしながらこっちに歩いて来た。
わたしを見てキョトンと大きな目を見開く。
「あれ?常連さんやん。勇征くんお気に入りの!」
「颯太!!1回黙れ。」
…真っ赤な八木くんにおさまりかけていた心拍数がまた爆音を立てる。
「まぁ、間違ってませんけどね。」
なぜか怒り気味にわたしを見る八木くんがたまらなく愛おしくて。
「モテ男はやる事ちゃうなぁ、やっぱ。見習わなあかんな、俺も。」
ぶつぶつ言いながらその場でリフティングをしている中島くんを見ていると、それをポーンと蹴りあげてストンとボールがわたしに届いた。
「ナイスキャッチ!えーっと、」
「あ、ゆき乃です!一ノ瀬ゆき乃。中島くんだよね?」
「ゆき乃さん!名前も艶っぽいなぁ。そんで僕の名前も覚えとったなんて、キュンやわ!ね、勇征くん!」
中島くんにフラれた八木くんがふぅーと小さく息を吐き出す。でもニヤりと笑うと、
「颯太は昨日ゆき乃さんと一緒に来たお姉さんのがタイプや!言ってたやろが!」
途端に中島くんが真っ赤になったんだ。