「アホやこの人!」
そう言った中島くんは照れ隠しなのか「堀夏くーん!」なんて叫んで逃げるように居なくなった。
すかさず美月が「えみさんでしょ!」だけど、八木くんがニッコリ笑って続けた。
「ロングヘアのお姉さんって言ってましたよ!美月さん!」
ショートカットのえみ。
ショートボブのわたし。
そしてセミロングの美月。
これはどう見ても美月だよなぁ。そもそもえみには健二郎くんがいるし。
「美月ちゃん決定!」
えみがプニプニって美月の頬を指で啄くもんだから美月まで紅くなっていて。
「2人ともずるい!」
えみの言葉になんとも言えない気持ちになる。
ずっとえみと健二郎くんみたいなカップルになりたいって思っていた。
お互いを信じて思い合っていて…って。
「あ、じゃあ俺から質問してしてもいいですか?」
見つめる先の八木くんがわたしを見下ろしていて。
「うん?」
「あの人、彼氏?」
少し離れた所で話している隆二を、だろうか?指さしてそう聞かれた。
「違う。仕事のパートナー。」
「ほんと?よかったー!なんか昨日仲良さげだったから、」
やっぱり昨日色々見てたの?
「ゆき乃さん今までそーいう素振り見せなかったから不安でした。やっぱり男いるんだって、無駄に妬きましたよ。」
唇を尖らせる八木くんはアヒル口で、たまらなく可愛い。
心臓がドクドク脈打ってる。
「妬いた、の?」
「…はい。」
…恥ずかしい。照れる。でも嬉しい…
「それは、嬉しいかも。」
素直に口から出た言葉だった。