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【side えみ】


「ちょおちょお、こっち来て、えみ。」


今めちゃくちゃいい所!なのに、健ちゃんが私の腕を掴んでゆき乃達から離された。

まぁ分かるけど。

だってほらみんな見てる、私を!というか、後ろのゆき乃であり、美月ちゃんを。



「知り合い!?」


私の腕をムンズと掴んで聞く隆二に苦笑い。

思ったより必死感出ててちょっと可愛い…とか思ったら不謹慎かな?


「うん、まぁ。」

「なに?どこ知り合い?だって学生でしょ、この子達。」

「そうだねぇ。気になるなら自分で聞いたらいいじゃん、隆二はさ。」


私の言葉に口をつぐむ隆二の後ろ、ゆき乃の元カレ直人さんが「聞いてやろーか?」なんて余裕の表情をしている。


「聞いた所で別に何も変わらないと思うけど。ゆき乃のタイプじゃねぇし、こいつら。」


確かにゆき乃の歴代彼氏にあんな美形はいなかった。どちらかと言うと体型も含めて可愛らしい人をいつも選んでいて。

しいてゆうなら木村くん辺りかもしれない。

だけど、ゆき乃のあの話を聞いたなら、好きになっても仕方ないと思うから。


「健ちゃん。直人さんってゆき乃に未練あり?無し?」


クイッと健ちゃんの腕を引いて耳元で小さく聞く。

一瞬直人さんをチラリと見た健ちゃんはちょっとだけ眉毛を下げて私の肩を抱いた。


「どーやろな。俺としては隆二の想いに答えて欲しいと思うけど。」


ここにきて隆二が必死なのはたぶん八木くんを知らないから、なんだろうか?





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