「おにーさんオススメなんですかー?」
こーいう知らない人と喋るのは得意な美月はわたしとえみを連れてレジの列に並ぶ。
今日はもうここでランチ決定の様。
「ゆき乃さん、いつも何食べてるの?」
「えーと、」
「ローストビーフですよね!」
答えたのはレジの八木くんで。覚えててくれたの?トクンと胸が音を立てた。
顔に出したつもりも何もないけれど、「はい。」って一言頷いたわたしを見て、えみも美月も一瞬息を飲んだ気がした。
「なるほど、そーいう事か、ゆき乃!」
それから続くこの言葉に「えっ!?」振り返ると、とんでもなくニヤついた目をわたしに向けている。
「オススメもローストビーフです。期間限定ですし!」
八木くんがニコニコ笑顔でそう言うと「じゃあそれ下さい!」って美月がわたしの腕に絡みついた。
「あれ?ゆき乃さん香水変えた??」
クンクンって首元に顔を近づける美月は猫のスリスリのようにわたしに絡みついていて。
「この店初めてですかぁ?」
レジの横、フードを作っている中島くんに話しかけられてピタっと止まったんだ。
「あ、はい。」
低音で小さく答える美月に、中島くんはふわりと微笑んで「ほんなら肉一つサービスしときます。また来てくれるよーに。」ニッと白い歯を覗かせて笑うそれに、美月だけじゃなくわたしもえみも心臓をつつかれた気分になる。