「ちょおちょお、無視はないやろ、えみちゅわぁん!」
えみの肩に手を乗せてブンブン振る健二郎くん。完全にえみしか見えてないって感じの愛情深い人だけれど、えみはそれが嬉しいってよく言ってる。
「健ちゃんがえみえみうるせぇの!」
眉毛を半分下げて笑う臣は美月を周りから隠すように立つ。
「ねー俺らもここで食おうよ。」
そしてこの男、今市隆二。
営業のくせに髭なんて生やしちゃって完全なるガテン系のイカついお兄さん。だけれど、優しく微笑めばなんていうのかギャップ?
その魅力に落ちる女は数知れず。
わたしの営業担当の人、だった。
「いいけど、空いてなくねぇ?」
臣が店内を見回すと丁度なのか、奥のソファー席が空く所だった。
「ちょっと待ってて。」
すかさずそれを見つけた隆二は、一つわたしの肩に手を置くと、それを待っていた女子に声をかける。
ごにょごにょって話しかけてこちらを指差して交渉。丸の内女子はすんなりOKで、こちらに向かって歩いて来た。
「ありがとう、代わってくれて。」
付け足すように臣が言うと、「いえいえ。」って微笑むから仕方なくわたし達はまだ食べ途中のお盆を持って…あ、隆二に取られた。
「言ってくれたら奢るのに、飯ぐらい。」
極上に優しい隆二の愛情を受け入れない理由が八木くんだなんて絶対にバレちゃいけない。